エメラルドってどんな宝石なの?
エメラルドは、緑柱石(ベリル)の一種で、強い緑を帯びた宝石です。和名は、翠玉(すいぎょく)、緑玉(りょくぎょく)と呼ばれています。美しい青色が特徴のアクアマリンと同じ組成をしているのですがクロムやバナジウムといった含有物の違いによって美しい緑色をしています。また、内部に特有の傷が無数にあり、これが天然ものの標識ともなっていますが、当然ながら、大きく・傷が少ない・ほうが宝石としての価値が高く、明るく・濃い・緑色のものが最上級とされています。エメラルドは天然では良質の石がほとんど採掘できないため、かなりの傷物も宝石として流通させることが一般に認められており、その場合オイルや樹脂に浸すなど化学的処理を施して傷を隠したり、石の耐久度を高めたりしています。特に無処理・ノンオイルとのことわりがない製品は、この手の処理を施してあると思って構いません。
エメラルドの仲間
緑柱石(ベリル)の中には黄緑色をした石もありますが、エメラルドとして扱われることはほとんどなく、ヘリオドール、グリーンベリルなどと呼ばれ価値も著しく下がります。発色の仕組みも鉄イオンが関係しており、クロムやバナジウムにより発色するエメラルドとは原理が異なっており、これらの石は加熱処理によりアクアマリンへと変色させることもできます。また、ピンク色のモルガナイトも同じ鉱物グループの仲間です。
宝石としてのエメラルド
モース硬度で見ると7.5~8と硬い石ではあるのですが、内部に多数の傷を抱えていると云う結晶の性質上、衝撃に極端に弱く、指輪の台に取り付けるだけで割れることさえあり、職人泣かせの石とも呼ばれています。エメラルドカットと呼ばれるカットをされることが多いですが、これは屈折率がダイヤモンドのように高くなく、ブリリアントカットを施しても屈折率の高い石に特徴的な煌き(ファイア)が見られないためで、印象的な緑色をより広く見せようとした結果です。それと上述したエメラルドの脆さ、及び六角柱をした結晶から取り出せる大きさなどとの関係から、なるべく欠け易い角が少なくなるようなこのカットが生まれたと言われており、透明度の低い石の場合はカボション・カットが施される場合もあります。稀にキャッツアイ効果(シャトヤンシー効果)の現れるエメラルド・キャッツアイやスター効果の現れるスターエメラルドが産出されることがあるのですが、非常に希少で、その分高額な価格が付きます。トラピチェ・エメラルドと呼ばれる均等に放射状に6つに割れた一見スターに見紛う石もあり、こちらも非常に希少です。
ちなみに同じ緑柱石(ベリル)に属するレッドベリルをアメリカの宝石業界がレッドエメラルドと呼ぶように他国と激しい議論を重ねているのですが、本来エメラルドには「緑色の」と言う意味があるのでこの名称は正しくない、と考える人もおり、現在まで決着はついていません。ベリルの語源であるギリシア語beryllosにも「海のような青緑の石」という意味があります。エメラルドの語源はサンスクリット語で「緑色の石」を意味する「スマラカタ」で、それが、ギリシャ語で「スマクラグドス」、ラテン語で「スマラグダス」と変化し、さらに「スマラルダス」に変化、そこからさらに古フランス語で「エスメラルド」に変化し、現在の「エメラルド」と言う呼称になったとされています。このエメラルドの呼称はエメラルドグリーンのように色の名前として、また美しい鮮やかな緑色を表現する上で「エメラルドのような〜」といったように慣用句としても使われていますね。
エメラルドの歴史と産地
エメラルドの歴史は古く、世界の4大宝石にも数えられており、コロンビア、ブラジル、ザンビア、ジンバブエ、マダガスカル、パキスタンなど世界各地で産出されていますが現在は、コロンビアが最大の産出国です。エメラルドは採掘された地域により、色合いが異なる場合が多いのが特徴で、例えばコロンビア産は深みのある純粋な緑色・ザンビア産は緑色でも青を含んだ色合いをしています。エメラルドは歴史は古いのですが、量的に出回るようになったのはアメリカ大陸発見後、新大陸で発見され、スペインがインカ帝国を統治し、ヨーロッパにエメラルドが流通するようになった頃からと言われています。
古くからインカ帝国では質の良いエメラルドが産出され、ペンダントや首飾り、神殿の装飾などに多く用いられていたのですが、その後スペイン人がエメラルドを貴金属と交換したことから、欧州やアジアの王族達が美しいエメラルドの宝石に注目するようになったようです。深い緑の輝きが印象的なエメラルドは、古くから幸福を招く石として伝承され、多くの人々から愛され続けてきました。時の権力者に好まれ、あのクレオパトラも魅了したとされる宝石でもあります。
エメラルドは5月の誕生石
エメラルドは、5月の誕生石であり、結婚55周年の結婚記念石としても知られています。結婚55周年を祝う式はエメラルド婚式と呼ばれ、エメラルドのジュエリーを贈る場合もあるのだとか。エメラルドの宝石言葉は幸福・幸運・愛・希望で、古来より透明感溢れる緑色の光は、人を健康に導く力があると信じられていました。エメラルドを眺めていると視力が回復するなど、目に関する言い伝えや、身に着けると森の中にいるようなやすらぎが得られ、思考力が高まり行動力をもたらすとも言われています。
実際にサンスクリットの医術では、エメラルドは解毒のほか、下剤、消化を助ける、等の効果があるとされていたそうです。(宝石を薬にするなんて凄いですね!)ペルシアやアラビアの聖者たちも、解毒のほか、てんかんを治す、肝臓病やらい病に効くなど万能薬扱いしていたというから驚きです!また、恋愛に関する願いを叶えてくれる愛の石や女性の貞節を守り夫の愛を保つ石とも呼ばれています。
エメラルドを身につけたい!
エメラルドを身につけたいと思う方は多いと思います。この項目ではエメラルドを身につける際の選び方を解説します!
◆ エメラルドの色合いを選ぶ
エメラルドと一言で言っても実際にその色合いは様々です。自分の好みの色合いのエメラルドを見つけましょう!エメラルドの色は緑色が基調ですが、中には青味がかった緑色や、黄色がかった緑色などがあります。また色の濃淡や明度もさまざまで、宝石の雰囲気もエメラルドの色合いによって異なってきます。淡いエメラルドグリーンは若々しい印象を与え、光沢のあるきらめきが特徴であり、葉っぱのようなツヤ感のある緑色は年代・世代を問わず人気があり、濃い緑色は落ち着いた印象を与えるので、シックな装いにもぴったりです。TPOに合わせて何種類かの色合いのエメラルドジュエリーをそろえてみても良いかもしれませんね!
◆傷が小さいエメラルドを選ぶ
上述したようにエメラルドは内部に傷が多く、非常に割れやすい宝石です。エメラルドを選ぶ際には、目立つ傷が少ないものや、傷が小さいものを選ぶのがポイントで肉眼では見えない場合もあるので、可能であればルーペで内部の傷を確認してみましょう!
エメラルドのお手入れをしよう
大切なエメラルドなら長く大事に身につけておきたいと思う方がほとんどでしょう。この項目ではエメラルドのお手入れ方法について解説します。
①
エメラルドのお手入れは、ジュエリーを外した後にやわらかい布(メガネ拭きなど)で優しく拭きましょう。
②
柔らかい布で拭いても汚れが取れない場合はぬるま湯で石鹸水を作って洗いましょう。(※ブラシ等で強くこすって洗うのはNGです。)
ぬるま湯石鹸水の中で優しく振って汚れを落とすようにしましょう。
③
石鹸水をよくすすいだ後は、乾いたタオルや布で優しく水分を拭き取り、自然乾燥を行いましょう。(※超音波洗浄器やスチームクリーナーでのお手入れはできません!エメラルドが割れる可能性が高いです。)
お手入れ方法を間違えてしまうと、せっかく大切にしていたエメラルドに傷が付いてしまったり、割れてしまう可能性が高いので気を付けてください!
エメラルドの保管方法
大切なエメラルドのお手入れが終わった後、身につけない時はエメラルドは必ずジュエリーボックス等に入れて保管しましょう!エメラルドは内部に傷が多いため衝撃には非常に気を付ける必要があります。また、エメラルドは熱が加わると傷が大きくなることもあり、破損の原因になる場合もあります!天然のエメラルドの大多数は、傷の部分をオイルや樹脂で充填処理されていため、乾燥によってオイルや樹脂が蒸発してしまったり、洗浄で抜けてしまったりすると、もともとの傷が目立ってくることもあるからです。
最後に
エメラルドは見ているだけでも心を和ませてくれる非常に美しい宝石です。誕生石として身につけるのは勿論のこと、宝石言葉が自分に必要なものだと感じたら身につけるのでも構いません。あなた自身のお気に入りの色合いや形のエメラルドジュエリーを是非探してみてください!また最近は身につけなくなってしまったエメラルドジュエリーをお持ちの方は、ぜひ当社、「買取大吉」にご相談ください。経験豊富な査定員が、あなたの大切なエメラルドジュエリーの次の持ち主を探すお手伝いをさせて頂きます!ここまでお読みいただき、ありがとうございました!