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神秘的な石オパール

神秘的な石オパール

オパールは「神の石」として古来から珍重されてきた宝石で、ブラックオパールやホワイトオパールなど種類が豊富な石です。また、見る角度によって色の変化を楽しむ「プレイオブカラー(遊色効果)」を有するのも特徴の1つ。この記事ではオパールの種類や石言葉、そしてお手入れ方法について紹介します。

色の変化が美しい「オパール」とは

落ち着いたやわらかな輝きが特徴のオパールは、特徴である色の変化で見るものを惹き付けます。ゆらゆらと移り変わるような輝きはまるで風景画を見ているよう。まずは、その歴史や特性を見ていきましょう。

オパールの由来・産地

オパールという名前は、古代インドのサンスクリット語で貴重な石を表す「ウパラ」が変化したものです。ギリシャ語で色の変化を見るという「オパリオス」に変化し、ラテン語の「オパルス」へ。その後、オパールと呼ばれるようになりました。

オパールの歴史

オパールの歴史は古く、古代ローマ時代には「神の石」として親しまれていました。古代ギリシャにおいてオパールは、予知力や洞察力が形になったものだと信じられ、アラブでは稲光が宝石になったものだと考えられていたようです。シェークスピアの小説の中では「宝石の女王」とも記されていますね。虹を閉じ込めたようなオパールは幸福や希望を表すといわれており、メキシコでも神事の装飾に使われるなど世界中で重宝されている宝石です。

オパールの石言葉

オパールの石言葉は「純真無垢」「歓喜」「希望」「幸運」「忍耐」などで、1つの宝石の中でさまざまな色の変化がみられるように、ポジティブで自由なエネルギーをもつ宝石と言われています。持つ人の才能を開花させ、創造性力を高める宝石です。また、見た目の瑞々しさと艶やかさからもわかるように、アンチエイジングの宝石といわれることも。オパールの髪飾りを身に着けて白髪を予防するという地域もあるようです。

日本の歴史にもかかわりがある石

古くは石器の材料の一つとして用いられ、日本でも東北から九州にかけて広範な遺跡から出土します。新潟県佐渡市の堂の貝塚では、精巧に加工された鉄石英および蛋白石製の石鏃を副葬した墓壙が発見されています。色の美しいものは宝石として扱われ、10月の誕生石とされています。特に日本で好まれている宝石で、乳白色の地に虹色の輝き(遊色効果)をもつものは中でも人気が高く、「虹色石」とも呼ばれています。カボション・カットでカットされ、ブローチや各種の装飾品に加工されています。オパールは宝石の中で唯一水分を含むため、宝石店などでは保湿のため、水を入れた瓶やグラスを置くところもあります。水分がなくなると濁ってヒビが入ることがあるためです。オパールの原石はカットされる前に充分天日で乾燥させなければなりません。乾燥に耐えられたオパールだけをカットし指輪などの宝飾品に加工されます。このようなオパールは普通に取り扱っている限りは特に問題がありません。

オパールが出来るまで

オパールは、簡単に言ってしまえばシリカゲル(乾燥剤)なんていう人もいますがそれではこの自然界の中で、どうやってオパールが産みだされてきたのでしょう。様々な科学者や、人々によっていろいろな説明がなされていますが、ここでは、そのうち最も代表的な説をお話していこうと思います。今から約一億数千万年前、地球は白亜紀と呼ばれる時代でした。まだ、私達人類は歴史の主人公として登場してはおらず、多くの海中生物や、恐竜が地球上を支配していました。そのころオーストラリア大陸は現在の姿とは違い、ゴンドワナ大陸と呼ばれる原始大陸の一部として位置していました。また、内陸に“エロマンガ海”と呼ばれる内海が存在したと考えられています。このエロマンガ海の海岸線に沿って大量の珪素(シリカ)が堆積していきました。時代は流れ、約数千万年前、隆起、分裂して現在に近い姿となったオーストラリアの大地には、気象状態の大きな変化により降り積もっていた大量の珪素が溶け出し、しみこんでいきました。これが数百万年の年月をかけ、固まっていったものが、今日オパールとして私たちの目を楽しませてくれているのです。1cmのオパールが形成されるのに、約500万年の年月がかかるといわれています。オパールは、人類登場のはるか以前から、ゆっくりとはぐくまれてきた地球の宝なのです。このように長い時間を掛けて、低温状態(摂氏100度以下)で少しずつ、ゆっくりと珪素が堆積することにより出来たのがオーストラリア産に代表される"堆積性"のオパールで、火山活動の影響により、比較的短い時間で、そして高温の状態で形成されたのがメキシコ産やエチオピア産に代表される"火山性"のオパールです。こうした生成過程の違いが、オーストラリア産とメキシコ、あるいはエチオピア産の性質や表情の違いとなって現れています。

オパールの特性

オパールは、宝石の中で色が躍っているように見える「プレイオブカラー(遊色効果)」を有する宝石です。プレイオブカラーは、凝集した二酸化ケイ素の小さな球が水と混ざることでピラミッド型の格子を作り、この中で光が分かれて乱反射することで起こります。種類にもよりますが、プレイオブカラーを持つオパールは、ずっと眺めていられるほどドラマティックな美しさです。一般的にオパールというと乳白色のような色合いを想像する人が多いですが、実はさまざまな種類があり、それぞれ特有のカラーを持っています。

ブラックオパール

数あるオパールのなかで「オパールの王」と呼ばれているのが、ライトニングリッジ産のブラックオパールです。夜空に浮かぶオーロラのような幻想的な輝きは、深みを感じる独特の色合いで見るものを惹き付けます。ベースが暗い色なので、プレイオブカラーがより鮮やかに見えるという特長も。ブラックオパールは人気がありますが、採掘量は年々減少にあるようです。

ボルダーオパール

ボルダーオパールは、オーストラリアのさまざまな場所で採掘されます。鉄鋼石の割れ目に流れ込んで形成されるボルダーオパールは、母岩とともにカットされ、母岩も宝石の一部になります。目を引くような鮮やかな色合いは、奥深く神秘的な印象。宝石愛好家の間で人気に火が付き、現在でも多くの人に愛されています。

グリーンオパール

グリーンオパールは、他のオパールに多いプレイオブカラーはほとんど見られません。アップルグリーンの優しい爽やかな色合いが特徴で、ジュエリーとして非常に人気がある種類です。

ジェリーオパール

ゼリーのような瑞々しい色変化を楽しめるのは、ジェリーオパールです。ジェリーオパールは、ウォーターオパール、クリスタルオパールなどと呼ばれることも。はっきりとしたカラーは見られず、いくつかの色が複雑に組み合わさっているように見えるのが特徴です。プレイオブカラーもかすかな色の輝きが躍っているように見えるでしょう。

メキシコオパール

メキシコでは1200年ごろアステカ族により宗教儀式における装飾に使用されて「ハミングバードの宝石」と呼ばれていました。この小鳥の羽毛がオパールの虹色の遊色を連想させるからです。メキシコオパールの鉱山の周辺ではハミングバードの飛翔がよく観察されます。特に地色が赤、橙またはオレンジ色のメキシコオパールで遊色効果の優れたものをファイアーオパールと呼んでいます。16世紀にアステカ族の神殿で発見されたオパールのひとつはアステカ太陽神の名で世界的にも知られるところとなり1881年にシカゴの自然博物館に売却され保存されています。メキシコのハリスコ州は主要なオパールの産出地のひとつです。鉱脈はケレタロ州の Tequisquiapan, Colon, ハリスコ州の Magdalena、El Cobano, Hostotipaquillo, Tequila, Antonio escobedo, San Cristobal de la Barranca にあり60年代の初期にオパールの採掘がはじめられました。ハリスコ州で行われた調査によると La Quemada, San Andres, San Simon, El Cobano,Magdalena の5地区が形成する3000km2の長方形の地域にオパールの鉱脈があります。マグダレナ地区が他の地域に比較して著名なのは産出されるオパールの色の階調が変化に富んでいるということです。赤、青、オレンジ、緑の色調がすべてそろっています。ここで最も希少な石は opalo negro (black) ですが、オーストラリアのブラックオパールと決定的に違うのは opalo negro(現地で azabache と呼称)はまったく透明であるということです。オパールは純粋性、透明性、色調、遊色、形状という多様な品質に分けられます。より優れた遊色と透明性と色調をもつオパールが高品質であることは言うまでもありません。98種にランクづけられるとまで言われているほど多様です。オパールは光の入射角により色調と色の階調の幅が大きく変わる宝石のひとつです。オパールの重要な性質のひとつは、熱による乾燥またはカットをされるときの激しい振動によりひきおこされる内部のミクロな断層または craquelacion です。水分をあたえるともとに戻りますが、1日から8日の間に再び同じ変質をこうむるのです。オパールはあたかも指紋のような石です。世界に同じ石は存在しないからです。

ファイヤーオパール

炎のような赤色や、強い日差しのような黄色の輝きを持つファイヤーオパールも、魅力的な種類の1つです。透明度が高く、プレイオブカラーは控えめなので一般的なオパールのイメージとは異なるかもしれません。新しい採掘規制により希少価値が上がっているため、人気も高まっているようです。

ファイヤーオパール(ファイアオパール)の特徴と宝石言葉

ファイヤーオパールは、文字通り炎が燃えるような色合いをしたオパールで、レッドからイエローまで暖色系の色合いのオパールは全てファイヤーオパールと呼ばれます。同じ種類の宝石でここまで幅広いカラーバリエーションがあるのは珍しく、他の宝石の場合はカラーごとに異なる宝石名が付けられるのが一般的です。

ファイヤーオパールの魅力

ファイヤーオパールという名称は、ボディーカラーが炎のような色合いをしているからではなく、遊色効果による煌めきが炎のように見えることから名付けられたといわれています。遊色効果とは、光の当たり方によって石の中に虹色の光が現れる現象のことを指します。オパールは、この遊色効果が見られるプレシャスオパールと、遊色効果が見られないコモンオパールに大別されますが、市場に出回っている多くのファイヤーオパールは遊色効果を有しています。ただし、遊色効果が見られないファイヤーオパールも存在します。また、ファイヤーオパールは3~10%ほどの水分を含むため、乾燥や熱に弱い宝石です。宝石の硬さを測る基準として使われるモース硬度も5.5~6.5と比較的低く、簡単に傷がついてしまうので取り扱いには十分に注意を払う必要があります。炎のような色合いが魅力のファイヤーオパールですが、その宝石言葉は「情熱」「不屈」「生命力の強化」「魂の喜び」などとなっており、色合い同様に力強い意味を持っています。

まとめ

ファイヤーオパールは、ベースカラーの豊富さと炎が燃え上がるような力強い輝きが魅力の宝石で、オパールの中ではブラックオパールに次いで高い人気を誇ります。一方で、非常にデリケートな宝石でもあり、乾燥・熱・衝撃に弱いという特徴があるので取り扱いには細心の注意を払う必要があります。また、近年は合成オパールやダブレットオパールを天然のファイヤーオパールと偽って販売している業者も存在するので、購入の際は信頼できる店舗を選ぶようにしましょう。

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