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銀の輝きが紡ぐ歴史「古くからの重要性とその価値を探る」

1236_銀の価値

銀は金以上に手間暇を要する採掘や精錬が必要です。そのためかつては銀が金よりも貴重で高価でした。しかし、新鉱山や技術の進歩で銀が入手しやすくなり、銀の価値は一気に下がっていきました。しかし最近では再び銀の価値が注目されています。

銀という金属

銀は、金、プラチナ、パラジウムなどと並ぶ貴金属の1つです。原子番号47、元素記号はAgであり、これはラテン語のArgentumに由来します。何世紀にもわたって、銀はさまざまな分野で使用され、人の文明に大きく寄与している金属です。

世界中で通貨として使用される銀

銀は金と同様に、貨幣として長きにわたり世界中で使用されてきました。その最初の採掘は5000年前にもさかのぼるとも言われます。銀は、紀元前3000年のアナトリア半島(現トルコがある地域)やクレタ文明を豊かにすることに貢献しました。紀元前1200年頃になると、ギリシャにラウリウム鉱山が設立されます。

数世紀にわたって銀を供給しつづけた「ラウリウム鉱山」

この銀鉱山は数世紀にわたって銀を供給しつづけました。古代ギリシアに活躍した「歴史の父」ヘロドトスによると、先駆的に銀を貨幣として使用したのは紀元前7世紀ごろのギリシャや、紀元前6世紀のリディアです。リディアの王クロイソスはエレクトラム(金と銀の合金)で貨幣の鋳造を行いました。

また紀元前500年にマッサリア(現マルセイユ)で鋳造された銀貨は、フランス最初の銀貨と言われています。ラウリウム鉱山を擁するギリシャでは、銀貨の大規模な生産が軍資金を提供しました。世界史の教科書でよく見るアテネのフクロウモチーフの銀貨も、ラウリウム鉱山から採掘された銀で作られました。

古代エジプト文明での銀の役割

古代エジプト文明の初期王朝において、銀は文化的な役割を果たしていました。紀元100年代には現スペインにあたるエリアの鉱山が、ローマ帝国に銀を供給しました。なお、日本では8世紀ころ銀貨が初めて鋳造されます。

西暦750年から1200年代にかけて、古代からの銀鉱山に加えて、より大きな銀鉱山が発見され、銀生産量が向上しました。さらに16世紀に新大陸が発見されると、銀の採掘が劇的に増加しました。スペイン人は、メキシコとボリビアで採掘した銀を販売することで利益をあげました。

宝飾品やジュエリーにおける銀

銀は宝飾品製作にも古くから使用されてきました。装飾品にする場合、純銀は素材として柔らかく耐久性に難があるため、銅などと掛け合わせて合金にする必要があります。シルバージュエリーに用いられる主要な銀合金は下記の2種類があります。

銀含有量92.5%

スターリングシルバー

銀含有量95.8%

ブリタニアシルバー

スターリングシルバー

スターリングシルバーの歴史は13世紀にさかのぼり、イギリスの国王エドワード1世がすべての銀製品の品位(銀含有量)を925/1000とすることを決定しました。

ブリタニアシルバー

一方、ブリタニアシルバーは17世紀、国王ウイリアム3世の治世下に、万有引力で有名なアイザック・ニュートンが主導した「大改鋳」とよばれる貨幣改革のさなかに導入されます。

19世紀、世界での銀の価値

イギリス製銀食器が流行する

19世紀、イギリス製銀食器が流行します。またヴィクトリア朝時代にあたる19世紀後半には、アーツアンドクラフツ運動の興隆もあり、自然や植物から着想を得たデザインが特徴的なシルバージュエリーの人気が高まりました。

この潮流はフランスのアールヌーヴォーなど世界の芸術様式にも影響をあたえます。また銀は、その可鍛性とニュートラルな白色のため、宝石をセットするのに理想的な貴金属でした。

ジュエリーの台座はシルバーが定番だった

当時、ダイヤモンド、アメジスト、ゴールデントパーズ、ガーネット、シェルカメオなど、多くの宝石がシルバーにセットされていました。またアルバート王が1861年に亡くなったとき、ヴィクトリア女王は喪に服し、その後も喪服で過ごしたことで知られています。

また喪に際して着用されるモーニングジュエリーはヴィクトリア女王によって広まったとも言われ、彼女はブラックオパールなどの暗い色の宝石をセットした、黒く酸化された銀を使用したモーニングジュエリーを着用しました。

現代における銀の価値

産業における銀の使用

熱と電気の伝導率が非常に高いため、銀は現代の産業で広く使用されています。これは、電気産業に欠かせない金属の1つです。銀は、携帯電話や太陽光発電パネルの製造にも使用されており、それ以外の多くの日用品にも使用されています。また銀は抗菌性の高い金属であるため、医療機器などにも多く使用されています。

銀のリサイクル

何世紀にもわたって、銀は我々の生活に欠かせない貴金属となっています。専門家のなかには2~30年後には枯渇していく可能性を示唆する人もいます。そうした視点から、銀のリサイクルが促進されています。使わなくなったジュエリーやコイン、銀製品、銀を含む精密機械などを回収し、新たな製品にするという事業も存在しています。

また、採掘業は、環境保護の観点からは森林破壊の原因と指摘されます。土壌侵食や土壌汚染、地下水の汚染を惹起する可能性があり、既存の銀のリサイクルは環境保護の観点からも歓迎されています。

まとめ

銀は金と並び、古くから価値の高い金属として世界中で珍重されてきました。それは貨幣的価値や美的価値を、人々が銀という金属に見出して歴史でもあります。現代においても銀は様々な分野で利用されており、近い将来に地球の銀資源は枯渇するともささやかれています。

そのため金が圧倒的価値を誇る現在ですが、銀が枯渇する場合、銀の価値が大きく跳ね上がる可能性も否定はできません。

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