バーキンとは
バーキンはエルメスを代表するハンドバッグです。そんなバーキン、実はある二人の偶然的な出会いから生まれたバッグなのです。その二人とは、当時のエルメスの社長であるジャン=ルイ・デュマと、歌手や女優として活躍するジェーン・バーキンです。パリ~ロンドン間を飛ぶ飛行機の機内でバッグの中身を落としてしまったジェーン・バーキンは、それを拾うのを手伝ったジャン=ルイ・デュマに、自分が必要なものを全て持ち歩くことができる理想的なバッグがないことを打ち明けます。そんなジェーン・バーキンの理想を、ジャン=ルイ・デュマがカタチにしたのが、1984年に誕生した「バーキン」なのです。
なぜバーキンはそんなに人気があるのか

バーキンの内部
収納力
ジェーン・バーキンがジャン=ルイ・デュマと出会った当時、彼女は歌に映画にと仕事をバリバリこなしつつ、まだ小さい娘を育てる超多忙なお母さんでした。バーキンはそんな「働くママが必要なものを全部詰め込めるバッグ」という前提のもとにつくられたバッグです。内部は側面にポケットが配されているものの、広い空間が確保されています。その為ありとあらゆるものを詰め込める収納力があります。また、たくさんの荷物を詰め込んでも型崩れしづらい強固な造りと、しっかりしたハンドルが備えられています。
時代を超越したデザイン
バーキンのデザインは、100年以上前に誕生した「オータクロア」というバッグに基づいています。エルメスは1837年にティエリ・エルメスが創業した高級馬具工房がルーツです。そのエルメス最初のバッグこそ、20世紀初頭に誕生したオータクロアです。これはそもそも馬具を収納できるようにとデザインされたものですが、鉄道などが発達すると、旅行鞄としても人気を博しました。オータクロアは現在もエルメスの定番バッグの一つであり、エルメス一のロングセラー商品となっています。そんなオータクロアのDNAを継承しつつ、さらに日常使いしやすいようにジャン=ルイ・デュマが手を加えたのが、バーキンなのです。
家宝になる
そんな日常使いができて、タイムレスなデザインのバーキンは、世代を越えて使い続けることができます。エルメスのバッグは最高級の素材を使用していることで有名ですが、造りも丁寧なもので、熟練の技術を備えた一流の職人が最初から最後まで一人で造り上げています。エルメスは、馬具工房というルーツを大切にしており、すべてのエルメスの革職人は馬具をつくることができます。エルメスのバッグはそんな馬具製造のノウハウを生かしたクリエーションであり、馬具造りから知恵を得た、頑丈な造りをしたバッグなのです。このように人気と実力を兼ね備えたバーキンは、世界中で需要があり、資産としても高い価値を誇ります。
エルメス 2023年春夏コレクション
ウィメンズウェアのアーティスティック・ディレクター、ナデージュ・ヴァネ=シビュルスキーによる2023年のエルメス 春夏コレクションは、砂漠を旅するノマドの装いを体現したものでした。この数年間、新型コロナウィルスによって世界はロックダウンを強いられていましたが、ようやくコロナの波が終息を迎えた今、押さえつけられた欲望が爆発したように人々は再び旅を楽しんでいます。エルメスの2023年春夏コレクションでは、そんな旅への誘いのような、たおやかで優美なルックの数々が発表されました。
62に及ぶルックの数々においては、砂漠を映したようなクリーム~ブラウンのカラーパレット、レインポンチョなどのアウトドアコード、テントやタープを彷彿とさせる、ロープのような紐使いが印象的なディティールが特徴的です。レザーをメッシュのように使うことで軽やかさをもたらしている点も、エルメスらしい技巧を感じます。エルメスは毎シーズン新色を発表しますが、2023年の春夏では白味の強いクリーンなグレー「Gris neveグリネヴェ」、果実のオレンジをそのまま色だけ抽出した「Orange miniumオランジュミニアン」、クリーミーなライトグリーン「Vert comicsヴェールコミック」の3色が展開されます。身体に沿うような半月型のショルダーバッグ「アルソン」や、フリンジ付のミニ「ケリー」、ビッグサイズショルダーバッグなど、新たなバッグにも注目です。
まとめ
ハンドバッグの頂点、エルメスのバーキンについて紹介いたしました。偶然の出会いが生んだハンドバッグは、使いやすさと洗練されたデザインを兼ね備えた名作として何十年も愛されてきました。そんなバーキンはいつでもどこでも持ち歩くのに「ちょうどいい」バッグであり、そんな丁度よさこそが究極のラグジュアリーなのでしょう。