目次
エルメスについて
シェーブルを語る前にエルメスというブランドについてご紹介しましょう。
エルメスは1837年、ティエリ・エルメスという人物によって馬具を作る工房としてフランスのパリで創業しました。優れた馬具を作るとして有名になり、ナポレオン3世やロシア皇帝を顧客として発展していきました。馬具の工房として名を馳せてきましたが、創業者の孫にあたるエミール=モーリス・エルメスは馬車の衰退と自動車の発展を予想します。
そして馬具で培われた技術を基礎にバッグや財布などを作り始めました。これこそが今日の高級ブランド・エルメスの礎となるのです。エルメスといえばオータクロア、バーキン、ケリーといった高品位のハンドバッグが有名です。しかしバッグと同じくらいに財布も有名で、世界中の女性を魅了しています。
エルメスの革の素材について
馬具を中心とした革製品から始まったエルメス。世界のトップに君臨する高級ブランドとして、素材である革の品質へのこだわりは並外れたものがあります。エルメスのバッグが生み出されるアトリエには、革保管部があり、世界中から取り寄せられた上質な革が、温度や湿度に細心の注意を払って保管されています。取り寄せる革は、例えばフランス国内でも高級カーフのなめしで世界的に有名なタンナーであるデュプイ社など、妥協することはありません。エルメスの製品を作る際に使われる革の部位は、ごく限られています。
牛革の場合、首に近い部分の「ショルダー」、背中にあたる「バット」、お腹に近い部分「ベリー」などに分類されますが、エルメルで使用するのはバットの部分だけだと言います。しかも、一切の傷がないものを使わなければならず、それは、1万頭から30枚ほどしか取れないパーツだとも言われています。その最上級の革を使って、一人の職人が最後まで責任をもって一つのバッグを仕上げていきます。
例えばケリーバッグならばひとつ作るのに、熟練した職人でもおよそ20時間ほどはかかるそうです。一人の職人が一つのバッグを受け持つ、これはエルメスのアトリエでは大切なルールで、製作者のサインを入れることで、修理の場合にもその職人が責任をもって担当します。様々な動物の革が素材として使われます。今回ご紹介するシェーブルはヤギの革ですが、ポピュラーなのは「トリヨンクレマンス」や「エプソン」が代表的な牛の革、ポロサスやニロティカスに代表されるワニ革などが有名です。
ヤギの革であるシェーブルとは?
シェーブルは、細かい革目と繊細な光沢感をもつヤギ革素材です。素材の特徴は、わずかな凹凸と美しい毛穴の表面感で上品な風合いながらも、牛革よりも軽量で傷などにも強く、発色性に優れているところです。ヤギは大きな個体が少ないことから希少価値も高く、財布やバーキン25などの小さいアイテムを中心に使用されています。
そして、シェーブルには2002年に登場したミゾールや、1998年から展開しているコロマンデルなどのシリーズもあります。ほどよい柔らかさとデリケートな質感、デイリーに使える丈夫さなど、嬉しいメリットを併せ持つ高品質な皮革素材がシェーブルです。
シェーブルが他の革に比べて実用的と言われるのはなぜ?
シェーブルは他の革よりも実用的であると言われます。その理由は、ヤギの革という物は他の素材に比べて非常に耐久性に優れているということです。皮革製品には「手入れ」という作業が存在します。「手入れ」をすることによって製品を長く使うことができ、その作業をすることによって製品に対して愛着が湧いてきます。ヤギの革であるシェーブルは他の素材に比べて耐久性があり、言葉は乱暴ですが、多少手入れがラフになっても問題がないのです。
しかし、好ましくない方法で行ったり、本当にお手入れをサボったりすると品質が大きく低下してしまうでしょう。このため正しいお手入れ方法をチェックしてから、定期的にメンテナンスするようにしましょう。
シェーブルはひとつだけではない!様々な種類を紹介!
ひとくちにシェーブルと言っても加工の仕方によっていくつかの種類が存在します。シェーブルの種類を紹介していきます。
・シェーブル
目が細かくわずかな凹凸がある。繊細な光沢があり、柔らかく薄い素材。
・ミゾール
シェーブルより丈夫な素材。ヤギ革独特のしなやかさが魅力。程よい目の大きさと柔らかさが特徴の雌山羊レザー。バーキン25や小物などに使用されている。
・アストラカン
品種改良を重ねて作られた手触りが柔らかな子ヤギの巻毛皮。
・ヴィブラート(廃盤)
様々に染色された山羊の革を重ねた断面を貼り合わせたものを裁断した、非常にデリケートな素材。
・ヴィブラート・スニップ(廃盤)
ヴィブラートから幅や色を変えた素材。廃盤になったシェーブルで作られたアイテムを見つけたら非常に幸運なことなので、すぐに手に入れることをオススメします。
シェーブルが使われているエルメスの人気アイテム
ヤギは牛と違って体が小さく、一頭から取れる革の量が少ないことがシェーブルの特徴でありネックな部分であります。このような事情があるため、特に財布やポシェットなどの小物類が中心となってきます。
そして当然ですがこのようなシェーブル製品は人気が高く、入手困難な物が多いです。入手困難でも比較的入手が容易な物がコインケースで、そこまで高額にならず、買い求めやすいのが特徴です。発色の良さを活かしてピンクやレッドに染め上げたアイテムが多く存在します。
キャッシュレス決済が一般的になってきましたが、それでもやはりコインケースは酷使されやすい品物です。この点でシェーブルは耐久性に優れているため長く使えます。他にもこの素材を使ったバッグや財布、小物は人気が高く魅力も抜群です。換金性が高い商品から実用性抜群の品まで、枚挙にいとまがありません。
小物でしか使われていないの??バーキンやケリーでは使われていないのか?
ヤギ一頭から取れる皮の量が少ないこと、取れた革から実際に使用する革を厳選するため余計に使える革が少ないことが特徴です。ですので、エルメスの製品の中でも特に財布やポシェットなどの小物類が中心となってきます。
だからといって比較的大きなバッグに全く使われないかというと、そうではありません。エルメスを代表するバーキンやケリーバッグでも、シェーブルが使われている物はもちろんあります。ただ皮の量がやはり少ないため、シェーブルで作られたバーキンやケリーバッグは他の皮革素材で作られたそれらと比べると非常に高価です。
シェーブルで作られたバーキンは中古でも数百万円は軽く超えてきますし、ケリーバッグにも同じことが言えます。希少価値が極めて高いので中古市場でも値崩れしにくく、価値のあるアイテムと言えます。そのような一品と巡り合えたら...非常にラッキーなことです。
鮮明に色彩を表現できるシェーブルにぴったりなカラーとは?
エルメスでは、ベーシックなモノトーンカラーからカラフルなものまで、豊富なカラーバリエーションを展開しています。そのなかから、あらゆる色を美しく、そして鮮明に表現する皮革素材、シェーブルにぴったりな3つのおすすめカラーをご紹介いたします。
・エルメスならではの絶妙カラー エトゥープ(Etoupe)
エトゥープは、シックなグレーと女性らしいベージュをブレンドしたようなグレージュカラー。優れた発色性をもつシェーブルなら、エトゥープの絶妙なカラーバランスを上品に演出してくれます。エルメスだからこそ表現できるニュアンスカラー エトゥープは、アイコニックなアイテムにも取り入れたいカラーのひとつです。
・にごりのないライトブルー ブルーアズテック(Blue aztec)
エルメスが展開するブルーカラーのなかでも、シェーブルに多く取り入れられているブルーがブルーアズテックです。にごりのない明るさが特徴的なパステルブルー ブルーアズテックも、高い発色性をもつシェーブルにぴったりのカラー。エルメスのシンプルなアイテムを華やかに、そしてさわやかに演出します。
・華やかでエレガントなローズショッキング(Rose shocking)
青みがかったビビットピンク ローズショッキングもブルーアズテックと同様に、シェーブルで多く展開されているカラー。シェーブルのローズショッキングは、鮮やかな色味をシェーブルの上品な質感と豊かな発色性で、大人イメージのピンクカラーに仕上がります。品のある華やかさを求めるかたにおすすめしたいピンクカラーが、シェーブルのローズショッキングです。
まとめ
いかがだったでしょうか?エルメスにはポロサスやニロティカス、トリヨンクレマンスやエプソンなど多くの皮革素材が存在します。そんな皮革素材の中でも、ヤギ一頭から取れる量が少ないことで非常に価値があります。なおかつヤギの革の中でも選びに選び抜かれた革を使いますので、作ることができるアイテムの数には限りがあり、そのどれもが非常に高い品質を誇ります。バッグにしても財布にしても小物にしても、シェーブルはエルメスのアイテムの機能美をより高める素材です。
しかし、需要の多さに対して供給が追いつかず、他の商品と比較しても高価になりがちです。特にバーキンやケリーバッグのような、革をたくさん使うバッグは非常に高価です。新品ならいざしらず、中古品も数百万は軽く越えてきます。女性なら自分へのご褒美や、男性なら意中の女性への贈り物として申し分がありません。
この記事を読んで気になった方は、シェーブルが使われた商品のコレクションを見てみてはいかがでしょうか。希少価値がありますので、手放す時にも高額査定が期待できます。贅沢な品物ですが、リセールバリューが良いので、使っている時も使わなくなった後もきっと「損をした」という気持ちにはならないでしょう。