なぜエルメスは革製品が有名なのか
エルメスは1837年、ティエリ・エルメスがパリで創業した馬具工房が始まりです。創業者のティエリ・エルメスは絵にかいたような職人気質の人で、妥協を一切しない丁寧なものづくりをする人だったと言われています。そんな彼の作る馬具は、馬にも優しくデザインも上品だったため、王侯貴族にも愛されたと言われています。時代は移り変わり、鉄道や自動車など、馬車に代わる交通手段が普及すると、馬具製造技術を応用した、あらたな革製品を製造するようになります。そうして生まれたのがバーキンやケリーの兄貴分「オータクロア」であり、世界で初めてファスナーをバッグの開閉機構に採用した「ボリード」などです。つまり、エルメスは200年近くも革製品を製造している老舗メゾンなのです。
エルメスレザーの色
ディープパープルからチェリーレッド、サファイアブルーからバレリーナピンクまで、エルメスの万華鏡のような色のカラーパレットは、レザーの種類と同じくらい印象的です。それぞれの色合いに独自の名前があり、定番色から毎年追加される新色まで個性豊かです。フランスにあるエルメスのアトリエでは、職人がブランドの厳しい基準に合わせて、染料をブレンドする訓練を専門的に受けており、何十年にもわたって色の一貫性を堅持しています。ただし、レザーは、テクスチャーやシボ(革特有のシワのような肌理)によって異なり、常に同じように染料に反応するとは限りません。したがって、バッグ一つ一つに微妙な違いがあります。さらにエルメスは分業制ではなく、一つのバッグを一人の職人が始めから終わりまで作り上げるため、職人の個性も反映していると言われます。丁寧に使えば一生もののエルメスバッグ、一つ一つの個性が楽しいですね。
エルメス グレー
エルメスの製品には本当に様々なカラーパレットがありますが、グレーはここでとくにオススメしたいカラーです。エルメスの大定番として後述のブラックとゴールドがありますが、それらの王道をちょうどよく“ハズシ”ていてかつ、柔らかいニュートラルカラーでどんな装いにも合わせられます。一言にグレーといってもエルメスのグレーにはいくつかあります。今回は人気の3色を紹介します。
エタン Etain
フランス語で錫(すず)という意味のエタン。錫といえばシブい銀色のイメージですが、エルメスのエタンは重厚感を感じる落ち着きあるグレーです。後述のエトゥープやグリメイヤーと比べてもとくにニュートラルな色味と言えます。グレーの中でもエトゥープと並び人気のある色で、ニュートラルで使い勝手のいい色味ということも人気の理由でしょう。
エトゥープ Etoupe
エトゥープは麻という意味のフランス語です。その名の通りエタン(錫)よりも有機的な温かみを感じる、ブラウンがかったグレーです。ナチュラルな温かみは白やブラウン、ベージュなど、シンプルな日常着のカラートーンとも相性抜群で、日々の装いを引き立ててくれます。このエタンとエトゥープは、エルメスのグレー系カラーの二大巨塔といっても過言ではない、人気を誇るカラーです。モノトーンや寒色系、シルバージュエリーなどクールな装いが多い人はエタンを、アースカラーや暖色系、ゴールドジュエリーなどナチュラル系の温かみのあるスタイルを好む方はエトゥープがおススメです。
グリメイヤー Gris meyer
グリメイヤーは2022年に発表されたエルメスの新しいグレーです。エタンに近い色合いですが、エタンよりも白味がつよく、冷涼感のあるグレーです。エタンが重厚感のあるトーンであるのに対し、グリメイヤーは比較的さっぱりした印象です。ニューカラーでありつつも万能なトーンなので、旬レベルでも使いやすさレベルでもオススメ度「大」です。
エルメス ブラック
フォーマル、プライベート、冠婚葬祭問わず使える黒いハンドバッグは、女性に欠かせないアイテムではないでしょうか。 ジェーン・バーキンのために作られたオリジナルの「バーキン」も、ブラックでした。一生モノのファーストエルメスは、ブラックという人はとても多いです。エルメスブラックはシックな印象を、持つ人に与えます。より大胆なブラックをお望みなら、ブラック総仕上げが特徴のエルメス「ソー ブラック」モデルに注目してみてください。
エルメス ゴールド
ゴールドは1950年代に、「ケリー」のミューズでもあるグレース・ケリーによって普及された、最も人気の高いエルメスカラーのひとつです。ゴールドはエルメスのブランドカラーを彷彿させる色でもあり、ブラックと並んでファーストエルメスに選ぶ人が多いです。ゴールドのキャラメルトーンがお好きな方は、経年変化に応じて独特のニュアンスを生み出す天然皮革素材のヴォーバレニアを使用したバッグがおススメです。
まとめ
エルメスの最上級の革製品はクオリティもさることながら、素材や色のバリエーションも魅力的です。この記事では最もベーシックな色味を紹介させていただきました。これらの色合いは素材との掛け合いで様々な表情をみせるので実際に手に取ってみると一層面白味があります。エルメスの革製品は長く使えるので、経年変化を楽しむのも一興です。