偽物ロレックスの蔓延
ロレックスの価格高騰や希少性の高さは今に始まったことではありません。しかし、戦争やコロナ禍などに起因した社会混乱による流通の鈍化や、東南アジアなどの新興富裕層の増加などが、ロレックスの品薄状態に拍車をかけたことで、ますます手に入れることができなくなっているのも事実です。
また、ロレックスは社会的地位の象徴であり、成功を体現しています。そのため、多くの人がそのような高級時計に憧れを抱きますが、多くの場合、それを買う余裕はありません。ロレックスの偽物はそういった正規品の品薄状態やヒトの虚栄心に付け入り、世界中で蔓延っています。さらにこれらの粗悪な時計の製造は、公正な労働条件の下では行われず、多くの場合、詐欺や児童労働などの違法行為の温床になっていることも忘れてはならないでしょう。
そうした模造品に騙されるリスクを少しでも減らすべく、ロレックスの真贋を確認するためのポイントを紹介します。
最初に販売者、次に時計
偽物に大金を費やすリスクを回避する最もシンプルな方法は、信頼できるディーラーや販売店から購入することです。個人からの購入を避け、信頼できるプロフェッショナルのもとで、その場で時計の真偽を直接確認することをお勧めします。オンラインで購入する場合は、多角的な情報から販売者の信頼性を確認してください。
ロレックスは「完璧」
ロレックスは高級時計業界のなかでも傑出した技術を誇るマニュファクチュールです。ロレックスが製造する時計は細部に至るまで完璧であり、正に「王冠」のロゴにふさわしいクオリティの高さなのです。メタルパーツに手触りの悪い箇所はなく、文字盤にはぼやけた文字はなく、インデックスが落ちることもありません。時計をくまなく精査してください。もし目の前の時計が細部に至るまで完全に仕上げられていない場合は、注意してください。しかし古いロレックスの場合は経年変化により、そういった基準では判定が難しい場合もあります。
手触りと重さ
多くの場合、ロレックスの偽物は、試着したときに気づくこともあります。安価なムーブメントと劣悪な素材は、安っぽく感じます。ロレックスは自社でパーツ用の金属を鋳造する工場も所持するほど、素材にもこだわって製造されています。偽物は部品同士が正確に嚙み合っておらず、ぐらついていたりする場合もあります。しかし重さに関して言えば、本物のロレックスらしい重量を表示する全ての時計が、本物であるとは限りません。これは、内部に鉛をいれて重さの帳尻を合わせている場合があるためです。一方、重量が軽すぎると思われる時計は、本物ではない確率が非常に高いです。
サイクロップレンズ
デイト拡大レンズが装備されている場合、下にある数字が2.5倍に拡大されます。また、番号は非常にきれいで、正確な線で表示されています。数字に揺らぎや印刷のこすれ、滲みなどがある場合は、偽物です。
ロレックスは時を”刻まない”
偽物を識別する最良の指標の1つは、時計の音です。時計を耳に当てて聞いてください。腕時計に連想される「カチカチ」という音が聞こえたら、それはロレックスの偽物です。ロレックスの秒針は文字盤上を滑らかに動き、古典的なジャンピング秒針のチクタクという音はしません。
自動巻きキャリバー
非常に古い時計と一部のオイスタークォーツモデルを除いて、すべてのロレックスは自動巻きキャリバーを搭載しています。ロレックスは1930年代に自動巻きムーブメントを開発したため、すぐにブランドの多くのコレクションに自動巻きムーブメントが搭載されました。したがって電池式のロレックスに万一出会うことがあったならば、脇目も振らずに素通りしてください。
ロレックスの価格
悲しいことに、ロレックスは年々価格が高騰しており、その影響は中古市場にも及んでいます。かなりの摩耗の兆候がある中古のロレックスでさえ、数十万円します。したがって、ロレックスのお得なセールを見つけたら疑ってください。オリジナルのロレックスの価格が「ちょうど」数万円になることはほぼありません。ロレックスはセールしなくても売れます。
シリアルナンバー
ロレックスのシリアル番号は、個々のモデルを識別するために使用されます。古いロレックスモデルでは、この情報はケースの外側に刻印されています。そのため、ブレスレットを取り外して確認する必要があります。ただし、新しいモデルでは、シリアル番号はベゼルの内側のフランジ(風防と文字盤、ベゼルの隙間を埋める部分)の6時位置にあります。この番号により、ディーラーに行かなくても、簡単な真贋チェックを実行できます。
時計内部
通常、時計のこのムーブメント部分を観察するのは時計職人だけです。ただしこの箇所も見方によっては、オリジナルかコピーかを見分ける判断材料を我々にくれることがあります。非常に優れたコピーにはある程度の耐水性と自動キャリバーも備わっていますが、最も才能のある偽造者でさえ、ロレックスのムーブメントの品質に近づくことはできません。またロレックスは、ケースバックが見えるモデルを提供していないため、サファイアクリスタルのケースバックからムーブメントが見える場合、それは間違いなく偽物です。
まとめ
このように様々な方法でロレックスの偽物を暴くことができます。しかし、偽物はどんどん進化しており、専門家であっても、ケースを開いて初めてオリジナルとコピーを区別できる、ということがよくあります。信頼できる鑑定士や信頼のおける販売店を活用しましょう。ネットではなく、直接アプローチするのが確実です。