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日本ロレックス社にオーバーホールを依頼した場合
日本ロレックス社にオーバーホールを依頼した場合、専門の技術者による研磨と超音波洗浄が行なわれます。オーバーホール後のロレックスは、小さな傷などが消え、新品のような輝きを放ちます。しかし、傷や汚れを取るためにロレックスを「けずり取る」作業をすることになります。新品の時と比べると、多少使用感が違ってくることもあるでしょう。
また、身につけているうちについてしまった使用感を大切にしており、研磨を希望しない場合はオーバーホールの申込時に「研磨作業不要」の旨を伝えるようにしましょう。大きな傷や深い傷、欠けなどは、研磨では修復できません。もし大きな傷を修復する場合はオーバーホールではなく修理の範囲に入り、別料金がかかります。
時計修理専門店にオーバーホールを依頼した場合
ロレックスの研磨は、時計修理専門店によって名称が異なり、新品仕上げ、ポリッシュといわれています。呼び方が違っても、ロレックスを「けずり取る」という工程は同じです。時計修理専門店ではオーバーホールと一緒に、サービスで研磨や傷取りを行なってくれる業者があるので、費用が抑えられます。オーバーホール時の研磨で取れない可能性のある深い傷や大きめの傷がある場合には、持ち込み時に相談してみてはいかがでしょうか。
ロレックスの研磨に回数制限がある?
ロレックスのモデルにもよるのですが、研磨は4~5回までが一般的です。それ以上行なってしまうと防水性が維持できなくなってしまうのです。5回以上になる場合はロレックスの部品そのものを交換するのがおすすめです。
ロレックスの研磨は自分でできる?
ロレックスの研磨は自分で行なうことが可能です。しかし、自分で分解用のアイテム、バネ棒はずしなどを購入しなければいけません。さらに、ロレックスの特徴であるヘアラインがなくなってしまうこともあります。気をつけて作業しないと、修理に出さなければいけないほど逆に傷が付いてしまいます。部品交換となった場合は、結局オーバーホールの費用よりも高額になってしまうので、おすすめできません。大切なロレックスを長く綺麗な状態で身につけることを考えると、プロにお任せするのが一番です。
きれいになるとやはり嬉しい
日常使いでくたびれたロレックスの時計を久し振りにメンテナンスに出して、やっと手元に帰ってきた瞬間というものは、何とも格別なものです。約1か月ぶりに再開する愛機は隅々まですっかり奇麗になって、愛着が深まり、初めてその時計を買った時以上に嬉しくなることもあるでしょう。その見違えるほどにきれいになる秘密について、ここで少し触れてみましょう。
ロレックス サービスセンターのメンテナンス
ロレックスのサービスセンターに時計のメンテナンスを依頼しますと、必要な分解と点検、検証を経て、ロレックスの基準と照らし合わせて、あなたの時計に今必要な作業量の見積もりが出てきます。ロレックスではムーブメントはもちろん、ケースやブレスレットなどの外装のメンテナンスについても強いこだわりがあるようで、文字盤などを除く全てのパーツが洗浄、必要な研磨仕上げを経て、ピカピカの状態に戻されます。当然そのまま使える部品はできる限りそのまま使用しますが、傷みの大きい部品については交換が推奨され、よほど古い時計でもないかぎりは、時計の本来の防水性能を取り戻すためにケースや裏蓋の交換を勧めてくることもあります。
傷付いたり、フチが欠けた風防は交換します。ムーブメントごとに定められたポイントに定められた種類の潤滑油を定められた量だけ差しながら組み立てられ、調整、点検を経てユーザーに戻されるのです。もともとは隅から隅まで高い加工精度で作られているロレックスの時計とはいえ、様々なユーザーによって使われることで時計ごとにコンディションが異なっていますから、メンテナンスの工程の多くは技術者の目視と手作業に頼るしかありません。これに伴うメンテナンス料金は、スイス時計は厳しいにしても、例えば国産ブランド等なら別に立派な時計が買えてしまうくらいの金額になってしまいますが、その作業の積み重ねを考えれば仕方のないことといえるでしょう。
使い捨てのものが増えた便利な世の中だからこそ、良いものを買って、まめにメンテナンスをしながら愛着を持って大切に使うことにこだわってみたい部分でもあります。
長年にわたる取り組み
今日ではtermineur(仕上げ職人)として知られている研磨技術者がこのレベルの習熟度と確実性に達するには数年かかります。3年間の研修期間で、仕事とその原則、ツール、素材、明確に定められたロレックスで実施される技術と工程を学び、それらを実行する能力を習得しなければなりません。そこから約5年間の実務経験を経て、研磨の多角的な側面を習得し、スピード、一貫性、そして各個人の高度な技術を支える根拠に基づく自信を得、その頃までに、ほとんどの研磨技術者が自分たちの作業に対する深い愛着を示し、そのような感情が不可欠だと断言できるでしょう。
27年の経験を持つ部門のとあるベテラン技術者は、新人研修生から彼自身のような古参の職人まで、職場のすべての研磨技術者に今でも賞賛のまなざしを向けています。「器用さや素材に対する感覚は、学校や職場では教えることはできません。それぞれが自分のペースで習得することです」と彼は説明します。「私はまだ学び続けています。」
不可欠な感覚
時間(場合によっては数秒程度であっても)や圧力がかかり過ぎると、研磨ホイールや研磨ペーストが金属を取り除きすぎてケースの形状が崩れてしまう可能性があります。タッチが柔らかすぎると、微細な傷、溝、くぼみが表面を損なう可能性があり、一般的には目には見えないかも知れないが、熟練の研磨技術者の目と指先によって簡単に検出されます。それぞれの部品、形状、および表面には、独自のアプローチが求められ、そして、各金属には独自の特徴があり、それぞれにおいて異なるものの、いかなる場合においても繊細な感覚が求められているのです。ゴールドは、より柔らかく輝きやすいが、18ct製の部品は精密に加工しなければすぐに変形してしまうデメリットもあります。プラチナは可鍛性であるが、過度の圧力または摩擦により容易に傷ついたりくぼんだりしてしまいます。
ロレックスで使用されているオイスタースチールは扱いが難しいことで知られ、均一な光沢を出すのにより多くの時間と強度を要する。熟練の研磨技術者でも、新しい金属に慣れるのに1〜3ヵ月かかります。今日では、煌めく気品を貴重な18ctイエローゴールドに施すことよりも、強靭なスチールのサテン仕上げに挑むことを好む方もいます。
明かされる研磨
時計の研磨技術者の職務は四半世紀の間に計り知れないほど変化してきました。かつて研磨は、主に経験豊富な職人たちによって蓄積された実地経験に基づいて行われており、そのノウハウが歴代の職人たちに受け継がれてきております。長い年月をかけてこの専門技術が明らかになると、ロレックスではより厳しい技術基盤を設けました。
今日では、研磨の方法と基準は、使用する工作機械と素材の種類から指定の仕上げを実現するために必要な技術と基本的な取り扱いに至るまで、各時計と部品ごとの製造仕様書に定められています。研磨ホイール、エメリーベルト、ソフトディスク、研磨ペーストなどの用具は、事前に実験室で研究された上でテストされ、それぞれの金属または表面仕上げに適応させます。
技術の進歩はまた、人間の手を補うための自動化の導入をもたらし、研磨プロセスを効果的に2つに分けました。主に数値制御された機械によって行われる表面処理と、それに続く主に手作業による表面仕上げです。しかしながら、両段階とも、所定のポリッシュまたはサテン仕上げの最終外観をもたらす光輝仕上げまでに、幾重にも重なる革新的な研磨を含みます。ここでは人間の感覚と目はかけがえのないものでしょう。
機械による準備
機械加工されたケースとブレスレット部品の自動表面処理中には、熟練の研磨技術者が常に目視チェックを行います。また、ブース内のロボットアームのコンピューター制御された動きは、人間が手作業で研磨を行う際の動きをモデル化したものです。ブレスレットのリンクの列はラックから取り上げられると、最大7分間、研磨ホイールに対して一連の正確な位置で自動的に切り替えられ、機械加工された金属の突起、傷、くぼみが取り除かれます。表面金属の100分の数mmが除去され、表面がわずかにマットになり、仕上げの準備が整い、硬いスチールの部品は、さらに2分間の自動事前研磨工程を経るが、これには非常に手間のかかる反復的な手作業を回避するという付加的メリットがあります。
これらの機械による準備作業は、特に貴金属を変化させる可能性のある摩擦熱を減少させるために、通常は切削油を用いて行われます。研磨ホイールとエメリーベルトは粗く、セラミック、コランダム、炭化ケイ素、ダイヤモンド、そして時にはルビーを含む粒状素材で作られています。
鏡面仕上げとサテン仕上げ
しかし、表面仕上げは一般的に、より柔らかいディスクを備えた研磨旋盤上で手作業にて行われます。最近では、サテン仕上げに使用される、台所用スポンジに近似したポリマーのピンクのブラシホイールが加わりました。しかし、素材の多くはサイザル麻の織物、圧縮メリノウール、フランネル、密度の異なるコットンのレイヤーなどの天然のもので、細かな研磨剤の入った研磨用ペーストで増強されています。あとは、それぞれの研磨技術者のスキルと技量次第です。
鏡面研磨が施されたパーツの輝きには、ケースまたはブレスレットから2〜5ミクロンを超える素材が決して取り除かれることのないよう、光輝仕上げの最終段階では滑らかで繊細なタッチが求められます。サテン仕上げは両方の段階で特定の技術を必要とし、ほとんどの場合、ブラシマークの深さと幅によって異なる表面の質感を生み出すブラッシングが取り入れられます。ロレックスでは、顕微鏡で見たときに、完全に平行で規則正しく間隔をあけた均一なブラシマークが特徴となっており、肉眼には、均一で暖かみのあるサテンの光沢をもたらします。ブレスレットのポリッシュ仕上げとサテン仕上げの組み合わせは、真の技巧と、仕上げ面を保護するためのマスキングテープの使用によるものです。
しかし、表面の仕上げだけでなく、形状を変えるために特にブレスレットに研磨が用いられることもあります。リンクの初期準備の後、ブレスレットはその側面に沿って均一な輪郭になるよう組み立てられて研磨されます。個々のサイドリンクによって形成された段状の側面を取り除いて洗練し、ブレスレットが時計ケースとクラスプを均等な曲線でエレガントにつなぐようにすることが、研磨技術者に託されています。
ご紹介したこれらは研磨の目に見える側面です。ロレックスでは、精巧に作られた時計への愛が、着用者には見えない表面にまでおよび、同様の配慮と技術で研磨が行われています。
自分でロレックスを研磨することは避けるべきか?
ロレックスにわずかな擦り傷が付いてしまうようなケースでは、「自分で研磨ができないかな?」と誰もが考えるはずです。実際に「時計 研磨」などで検索をすれば、さまざまなセルフメンテナンスの方法が見つかります。代表的なものとしては、金属研磨剤と耐水ペーパーを用いた研磨です。#1000~#1500程度の目の耐水ペーパーを用意し、擦り傷がある箇所を磨きます。その後、金属研磨材(コンパウンドなど)を布につけて、メガネ拭きなどをつかってこすります。なお、金属研磨材ではなく、スポンジ研磨材を用いる場合もあります。
ただし、こうした方法はあくまでも“ちょっとした擦れ”の場合でしかおすすめできません。そもそも、一口に腕時計の研磨といっても、その時計ごとに適した研磨方法があります。もっとも基本的なものは、いわゆる鏡面仕上げともいわれるポリッシュ仕上げです。表面が美しいツヤを持つロレックスであれば、こちらが適正です。一方、マットな質感のロレックスであれば、「ヘアライン仕上げ」と呼ばれるつや消しの研磨技術が使われます。ロレックスのような高級時計によく用いられている手法です。そのほかにも、深い傷に対応できる「外装仕上げ」と呼ばれるものもあります。
いずれにせよ、美しい仕上げのためにはプロの技術力が必要です。とくに、「ヘアライン仕上げ」や「外装仕上げ」はより高度な専門技術が必要であり、自身で行うのは困難です。万が一、自身で研磨を行ってよい仕上がりが得られないと、せっかくのロレックスの価値を落としてしまう可能性もあるでしょう。こうした点を踏まえると、本当に軽微な傷ならまだしも、基本的にはプロにメンテナンスを依頼するのがおすすめです。
ロレックスオイスターは研磨できる設計
最もロレックスの場合、ケースやブレスレットに多少の研磨ではびくりともしないような設計が張り巡らされているのですが、これも度重なってくれば形が変わり、防水性能にも影響が出てくる可能性があります。その時にはミドルケース交換という手もありますが、やはり時計を大切にしたいなら日頃から傷をつけないように気を付けること、万一傷がついてもあまりくよくよしないこと、研磨は程々に、がおすすめです。
なお、修理費用の節約と考えて、自ら研磨による傷隠しを行うこともできますが、結果としてロレックスの価値を落とす可能性も十分に考えられます。そうなってしまっては本末転倒です。状況にもよりますが、よほど小さな傷でない限りは、プロにメンテナンスをお願いするほうが賢明でしょう。