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廃盤となった上質素材のエルメス「クシュベル」とは?
クシュベルは、雄の仔牛から取れた革です。正式名称は「ヴォー・グレネ・クシュベル(Veau Graine Courchevel)」です。
かつて、エルメスの高級バッグなどに使用されており、ガラス加工が施された上質な質感と実用性の高さから、人々に多くの支持を集めました。
後述でも説明しますが、現在は「エプソン」がクシュベルの後を引き継いでおり、エルメスの定番素材として使用されています。
エルメス「クシュベル」の特徴
それではクシュベルの特徴を見ていきましょう。質感や耐久性など、どのような性質が魅力的だったのでしょうか。そして廃盤となった現在、クシュベルを使ったどんな商品が出回っているのか、それも併せてご紹介します。
光沢感のある質感
クシュベルは上質な質感であると説明しましたが、それを裏付けているのは「光沢感」です。ガラス加工を施されたことにより発色する適度な光沢が、商品の高級感を引き出しているのです。
他の素材と比較すれば、クシュベルの方が発色の良い色味であることが分かります。商品の美しさやコーディネートしたときの見映えが上品です。定番のカラーでも色の明るさが違うため、今までの素材と違った爽やかな魅力が人気になった一因だと言るでしょう。
耐久性が高く扱いやすい
クシュベルは耐久性の高さも兼ね備えています。ガラス加工のおかげで傷がつきにくいのです。
また、耐水性も優れており、突然、雨が降ってきたとしても問題ありません。
素材としての重さも軽く、普段の生活でも扱いやすい性質を持っています。高級素材でありながら普段使いができるのも、人気の理由です。
廃盤となりヴィンテージバッグでしか見られない
そんな人気のあったクシュベルですが、2000年代前半に廃盤となりました。
そのため、中古品やネット通販で取り扱っている商品はヴィンテージバッグだけしか見かけないのです。
前述でもお伝えしましたが、クシュベルには光沢による発色の良い質感と耐久性があります。その結果、20年以上たった今でも需要のある商品となっています。需要が高いということは、中古価格も下がりにくく、商品の状態が良ければ高価買取につながる可能性が高いです。
エルメス「クシュベル」の後継「エプソン」との違い
クシュベルが廃盤になった後、2003年頃に「エプソン」と呼ばれる素材が後継として選ばれました。どちらも雄の仔牛の革ですが、どのような違いがあったのでしょうか。
レザーの光沢感
エプソン(正式名称:ヴォー・エプソン)は光沢がありません。クシュベルと違い、ガラス加工が施されていないためです。
エプソンの方が白っぽい色味が出ていますが、商品を見る角度を変えてみると、光沢感があるのはクシュベルとなります。
違いが分からない場合は、光沢感に注目してみましょう。
型押しの見た目
クシュベルとエプソンはどちらも型押し加工が施されています。型押し加工とは、凹凸を付けた金属の板を使い、熱を加えながら圧力をかけていくことで模様をつけていく加工方法です。
クシュベルの方はきめ細かな型押しになっていますが、エプソンには少し荒さがあります。これは型押しの深さによる違いです。クシュベルは深く型押ししていますが、エプソンは浅く型押しされています。
エルメス「クシュベル」と相性のいいカラーはゴールド
クシュベルは高級感のある素材です。ですので、より高級感を出すという意味から考えると、一番相性の良い色はゴールドと言えるでしょう。
クシュベルを使用したゴールドの商品は、今も人気が続いています。特にバッグは人気が高く、角度によって金色の輝き方が変わるので、品格のある印象を受けます。
中古商品であっても価格が下がることがほとんどない、定番カラーとなっています。
エルメス「クシュベル」と相性のいいアイテム7選
クシュベルが採用されたアイテムは、どのようなものだったのでしょうか。エルメスの商品の中で特に相性の良かった7つのアイテムをご紹介します。どれも高品質なものばかりです。
バーキン
バーキンはエルメスを代表する高級バッグです。エルメスファンにとって、一度は入手したい憧れの商品です。
サイズの種類も豊富にあり、ちょっとしたお出かけから旅行に行くなど、自分の目的に合わせて活用することができます。
クシュベルの耐久性と光沢感は、バーキンとの相性がとても良いです。突然の雨でも耐水性が良いので、旅行でも重宝するでしょう。
今でもとても人気の高いバッグです。
ケリー
ケリーもバーキンと並ぶ、人気のバッグです。1本のショルダーストラップが付いているのが特徴です。
1935年に発売して以降、長く愛されているバッグですが、耐久性の高いクシュベルとは相性が良いです。ケリーのデザインを長期で保つのに最適で、光沢感が高級感を引き上げています。
クシュベルが使われているケリーは今も人気があり、中古販売でも100万円以上という高価格の商品があります。
オータクロア
オータクロアはエルメスのバッグの元祖ともいうべき商品です。20世紀初頭にエルメスで初めて作られたバッグで、乗馬用具を入れることを想定したバッグです。そのため、幅が広く、収納性が高いのが特徴です。バーキンよりもサイズの種類が多くあります。
バーキンの原型と言われているバッグですので、クシュベルとの組み合わせは人気があります。軽量な素材なので、より扱いやすくなっています。
ボリード
1923年に誕生した、自動車での通勤などを想定したバッグです。エルメスのバッグで初めてファスナーが付き、角が楕円形の曲線フォルムになっているのが特徴です。
クシュベルを活用したボリードは、その耐久性で折り目がつかないため、ボリードの曲線フォルムを保つのに適しています。
このようにデザインを崩しにくいため、クシュベルを使用したボリードは人気が高いです。
サックアデペッシュ
1928年に発表された、政治家や芸術家たちに愛されたバッグです。
デペッシュはフランス語で「公文書」という意味で、失くしてはならない機密書類を安心して運ぶことを目的としたデザインになっています。
機密に関わるものを運ぶため、耐久性が高いクシュベルとは非常に相性が良いです。最前線で活躍する、一流のビジネスマンご用達のバッグと言えるでしょう。
ヴェスパ
ヴェスパはカジュアルにバッグを身に着けることを目的とした、斜めがけのショルダーバッグです。カジュアルな印象にも関わらず高級感のある見た目は、いい意味でエルメスらしいギャップがあります。
実用的で普段使いしやすいバッグであるので、長持ちで傷つきにくいクシュベルとの相性はとても良いです。クシュベルの高級感のある性質によって、カジュアルからフォーマルまで、どんなシーンでも使いやすいと言えるでしょう。
トリム
1950年に馬のエサ入れの容器をヒントにして制作された、クラシカルなバッグです。
内部にある収納ポケットが豊富にあり、ショルダーストラップも付いているため、様々なシーンで利用できます。そのため、クシュベルの耐久性の良さが、トリムがもつ収納力の高さに大きく貢献してくれます。
クシュベルの上質な質感がトリム本来の上品さを引き出し、フォーマルなシーンでも気軽に使用できるでしょう。
エルメス「クシュベル」アイテムのお手入れ方法
クシュベルは傷がつきにくい丈夫な素材ですが、お手入れするときは慎重に行ってください。
基本は柔らかい布で、丁寧に乾拭きしてください。どうしてもホコリが取れない場合は、柔らかいブラシを使って取り除きましょう。水につけた布で拭くと、光沢が低下する危険性があります。また、強く擦ってしまうと、かえって商品に傷がつくこともあるので、雑に拭かないようにしましょう。
保管するときは、直射日光が当たらず湿度が低い場所に、他の商品と分けて保管する必要があります。
お手入れする自信がない場合は、バッグの修理専門店に依頼するのも手です。
まとめ
クシュベルは廃盤からおよそ20年以上が経過しましたが、光沢の美しさとクシュベルの持つ耐久性の良さで、今でも人々に愛されている素材です。高級カバンの商品との相性は非常によく、中古販売でも100万円以上の高額商品となっています。カラーを美しくする光沢と長持ちする素材だからこそ、求める人々が多いのだと思います。一度、お手に取ってみて、素材の価値を肌で感じてみてはいかがでしょうか。