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金とプラチナは酸化しない?
金やプラチナは酸化しにくい金属として広く知られています。その特性の背景には、非常に安定した性質が関係しています。では、なぜ酸化しにくいのか、その理由とはなんなのでしょうか。
金が酸化しない理由
金は化学的に安定した貴金属で、空気中の酸素や水分と反応しにくいため、他の金属のように酸化や腐食が起こりません。これは、酸やアルカリに強く、他の物質と反応しにくい性質を持つためです。
さらに、金は電子を手放してイオンになろうとする性質が非常に弱く、このイオン化傾向の低さも酸化しにくい理由の一つです。
また、濃塩酸や濃硝酸を混ぜた「王水」を除いて、ほとんどの液体に溶けることがありません。このため、金は長期間にわたってその美しい輝きを保つことができるのです。
プラチナが酸化しない理由
金と同様に、プラチナも酸化しにくい金属です。プラチナの化学的安定性は非常に高く、酸やアルカリとも反応しません。構造が非常に安定しているためであり、他の物質と結びつきにくい性質を持っています。
さらに、プラチナは金と同じくイオン化傾向が低いため、酸化されにくいのです。そのため、プラチナ製品も長期間美しい輝きを保ち、変色することはほとんどありません。
酸化して変色する金・プラチナ製品がある理由
金やプラチナは酸化しにくい金属として知られていますが、製品として使用される際に変色が見られることがあります。その原因は、金やプラチナに混ぜられる他の金属によるものです。
割り金として選ばれる銅や銀、ニッケルなどは酸化しやすい金属です。さらに金やプラチナの純度が低いと、これらの酸化しやすい金属の割合が高くなり、変色しやすくなります。
金とプラチナの純度
金とプラチナは、その純度によって価値が大きく異なります。それぞれの純度についてくわしく見ていきましょう。
金の純度
金の純度は「カラット(Karat)」で表され、最も純粋なK24は金の含有率が99.99%の純金を意味します。純度が低くなると金の割合も減り、たとえばK18では金の含有量は約75%となります。
金は加工しやすいため、他の金属と合金化され、色合いや硬さに変化が生まれます。ホワイトゴールドにはニッケルや銀、ピンクゴールドには銅が使われ、独自の輝きや風合いが生まれます。
プラチナの純度
プラチナの純度は「Pt」という単位で表され、最も純粋なものはPt1000で、これはプラチナの含有量が100%であることを示します。しかし、一般的に使用されるプラチナ製品は、Pt950(95%)やPt900(90%)が主流です。
純度が高いほど、美しい色合いであるため、プラチナ製品は高価となります。また、合金化する際には、主にパラジウムやロジウムが使われることが多く、これにより日常使いに適した強度が得られます。
金製品が酸化したときの対処法
金製品が酸化すると、色が変わり、輝きを失ってしまいます。しかし、適切な対処法を取れば、簡単に元の美しさを取り戻すことができます。金製品の酸化を解消するための効果的な方法をご紹介します。
お酢やレモン汁に浸す
金製品が酸化してしまった場合、お酢やレモン汁を使うと効果的です。これらの酸性成分が酸化部分に作用し、錆や変色を取り除いてくれます。具体的には、お酢やレモン汁に金製品を数分間浸し、その後しっかりと水で洗い流すだけでOKです。
お酢の場合、塩を加えるとさらに効果が高まりますので、酸化を速やかに解消できます。ただし、真珠やサンゴなど、酸に弱い宝石がついている場合は、この方法を避けるようにしましょう。
① | 溶液を作る | 酢に塩を加えるか、レモン汁を使って溶液を作る |
② | 浸ける | 溶液にアクセサリーを5~10分ほど浸す |
③ | 洗う | アクセサリーを取り出して水洗いする |
④ | 拭く | やわらかい布で水気を拭き取る |
貴金属専用クロスで優しく磨く
もし酸に浸す方法が適さないときや、宝石が付いている場合には、貴金属専用のクロスで優しく磨くのが効果的です。専用クロスはホームセンターなどで手に入れることができ、金製品の表面を傷つけることなく丁寧に磨けます。
純度の高い金はやわらかいため、強く磨きすぎると傷がついてしまうことがあります。力を入れずに、優しく磨いてください。宝石部分を傷つけないように注意し、金メッキ製品はメッキが剥がれないように優しく扱いましょう。
重曹で洗浄する
金製品に黒ずみができた場合、重曹を使ってきれいにすることができます。黒ずみの原因は、金に含まれる銀が皮脂や汗と反応して硫化するためです。重曹でやさしく磨くと、硫化した部分をきれいに取り除くことができます。
ただし、銅を含む金製品では、塩素系の漂白剤が原因で発生することがあります。こうした黒ずみは落としにくいため、漂白剤の使用時はアクセサリーを外しておくことをおすすめします。
① | 準備 | 浸す容器にアルミホイルを敷く |
② | 溶液を作る | 湯と重曹を、3対1の割合で溶かす |
③ | 浸ける | 溶液にアクセサリーを浸す |
④ | 洗って拭く | 取り出して水洗いして拭く |
中性洗剤でお手入れする
ぬるま湯に中性洗剤を溶かし、金製品を軽く浸して優しく汚れを落とします。その後、しっかりと水ですすぎ、柔らかい布で水分を拭き取ることが大切です。
汚れが残る場合は、アンモニア水を薄めた溶液を使うこともありますが、強力な成分ですので注意が必要です。また、宝石付きのアクセサリーは、正しいお手入れ方法を確認して慎重に扱いましょう。
① | 溶液を作る | 中性洗剤をぬるま湯で溶かす |
② | 浸ける | 溶液にアクセサリーを20分ほど浸す |
③ | 洗って拭く |
洗い流してやわらかい布で拭く |
超音波洗浄機・炭酸水を活用する
金製品に付いた細かな汚れを取り除くために、超音波洗浄機を使用するのは非常に効果的です。この機器は音波を洗浄液に伝えて汚れを分解する仕組みで、手では落とせない微細な汚れも除去できます。
また、超音波洗浄機がない場合は、炭酸水を使う方法もあります。炭酸水に含まれる二酸化炭素が汚れの隙間に入り込み、浮かせる性質を持っているため、細かな汚れを効率よく取り除くことができます。
どちらの方法も金製品を傷つけることなく、細かな汚れをしっかりと落とし、美しさを保つ手助けをしてくれます。
専門業者に依頼する
金製品の汚れがひどく、自宅でのお手入れでは落としきれない場合は、専門の業者に依頼するのも一つの方法です。専門家は金属に適した洗浄方法を熟知しており、大切なアクセサリーを傷つけずにきれいに仕上げてくれます。
また、購入した店舗でクリーニングサービスを提供していることも多く、無料で対応してくれる場合もあります。仮に有料の場合でも、3,000円程度で済むことが一般的です。
金製品を酸化させないための予防法
金製品の輝きを保つには、日常的なお手入れが欠かせません。簡単な予防策を実践することで、長く美しい状態を維持できます。酸化を防ぐためにも、ぜひ試してみてください。
入浴時は取り外す
金製品は、入浴時に身につけないよう心掛けることが大切です。入浴剤に含まれる成分が金属と反応し、変色を引き起こすことがあります。さらに、アクセサリーに水分が付着すると、酸化が進みやすくなります。
湿気の多い環境では、金属の劣化が早まるため、入浴時には必ず取り外すことを習慣にしましょう。こうした一手間で、金製品の美しさを長く保つことができます。
化粧品や香水をつけない
化粧品や香水は、金製品に直接触れないようにすることが大切です。これらの製品に含まれる油分や化学成分が金属と反応し、酸化や変色を引き起こす可能性があります。
特に香水の成分は金属表面に残りやすく、汚れや傷の原因となることがあるため、使用後は必ずアクセサリーを外す習慣をつけると良いでしょう。
使用後に軽くお手入れする
金製品を使用した後は、軽くお手入れをすることが大切です。アクセサリーを外した際には、専用のクロスを使って表面に付着した皮脂や汚れを拭き取ると良いでしょう。
皮脂は時間と共に酸化しやすいため、こまめに拭き取ることを習慣づけましょう。
空気に触れないように保管する
金製品は、保管方法にも注意が必要です。空気に触れることで酸化が進むため、専用のケースや密閉できる袋に入れて保管するとよいでしょう。湿気が多い場所は酸化を促す原因となるため、乾燥剤を一緒に入れるのも効果的です。
また、ほかのアクセサリーと直接触れ合わないように個別に保管することで、傷や摩擦による劣化を防ぐことができます。適切な環境で保管することで、その美しさを維持しやすくなります。
定期的にメンテナンスする
金製品を長く美しい状態で保つためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。自宅でのお手入れだけでは落としきれない汚れが蓄積することもあるため、専門店でクリーニングを依頼するのが安心です。
プロの手によるメンテナンスを受けることで、細かな傷やくすみを防ぎ、輝きを維持しやすくなります。また、ゆるみや変形がないかも確認してもらえるため、思わぬトラブルを防ぐことにもつながるでしょう。
まとめ
金やプラチナは酸化しにくいものの、汚れや環境によって変色することがあります。美しい輝きを保つには、日常的なお手入れや適切な保管が欠かせません。定期的なケアを習慣づけ、大切なジュエリーを長く楽しみましょう。