「本物の金」と「偽物の金」の違い
本物の金製品には、純金やほかの金属を混ぜた合金などが挙げられます。
一方、偽物の中には、実際の純度とは異なる刻印が施されているものや、金メッキで加工したもの、パーツに金以外の素材を使用しているアイテムなどがあります。
ここでは、これらの違いについて詳しく解説します。
本物の金の特徴
「純金」も「合金」も金を使用しているため、どちらも「本物の金」と言えます。
まず、純金とは、金の含有率が99.99%以上のものを指します。一方、合金は、「割金」と呼ばれる銀やアルミニウムなどの金属を混ぜたものです。
純金は、貴金属の中でも特に柔らかく、傷つきやすい性質を持っています。そのため、日常使いするジュエリーなどの金製品には、純金よりも耐久性の高い合金を使用することが一般的です。
また、金製品の純度は、24分率という基準によって、「K24」や「K18」などで表されます。
偽物の金の特徴
偽物の金製品には、「刻印で純度を偽装している」、「金メッキ加工を施している」、「一部のパーツに金以外の素材を使用している」といった特徴があります。
ここでは、これらの3つについて詳しく解説します。
刻印の純度を偽装している
金製品には、刻印が偽装されている場合があります。
例えば、実際は純度の低い「K10」を使用しているのに、「K18」と表記されているケースがあります。
また、東南アジアなどの海外で作られた金製品の刻印には、「18K」のように数字の後にKが来るものもあります。このような金製品は「あとK」と呼ばれますが、純度が刻印どおりではないことも珍しくないため、注意が必要です。
金メッキ加工を施している
表面に金メッキを施しただけの製品は、本物の金とは言えません。
通常、金メッキ製品には「K18GP」などの表記があります。「GP」は「Gold Plated」の略で、金メッキが施されていることを示します。
しかし、このような表記をせず、金メッキを施しただけのジュエリーなどを、金製品として販売する業者も存在します。
この場合、見た目だけでは金メッキかどうかを判断するのが難しいことがあります。
金以外の素材を部分的に使用している
アクセサリーなどでは、小さなパーツや目立たない部分に金以外の素材が使用されていることがあります。
例えば、チェーンの接続部分や留め具にK18が使用されているにもかかわらず、ほかの部分に銅が使われているケースなどが挙げられます。
しかし、「K18」と刻印された製品は、その全ての素材にK18の金を使用しなければなりません。
このように、刻印された純度の金と実際の素材が一致しない場合、その金製品は偽物だと言えるでしょう。
本物の金と偽物の金(金メッキ)の見分け方8選
本物の金と金メッキなどの偽物を見分ける方法はさまざまです。ここでは、自宅で簡単にできる方法から専門業者に依頼する方法までの、8つの見分け方を詳しく解説します。
① 刻印を確認する
まずは、刻印の有無や種類を確認しましょう。
先述のとおり、純金の場合は「K24」、合金の場合は「K18」や「K10」などと表記されています。
さらに、金メッキの場合は「K14GP」、色味を変えた金製品には「K14PG(=ピンクゴールド)」や「K14WG(=ホワイトゴールド)」など、刻印にアルファベットが追加されることもあります。
また、刻印の横に日本国旗が刻まれている場合、それは造幣局の貴金属検査を通過した証拠です。
ただし、刻印自体が偽物である可能性もあるため、注意が必要です。偽物には「ディテールが粗い」といった特徴がありますが、素人が見抜くのは難しいでしょう。
② 色味を確認する
金製品は、色味を確認することで本物か偽物かをある程度判別することができます。
まず、純金はオレンジ色に近い濃黄色が特徴です。
しかし、金の純度が「K18」や「K14」に下がっていくと、色味は徐々に黄色っぽくなります。また、さらに純度が下がると、含まれている金属の色味に近づいていくことが一般的です。
そして、偽物の金製品は、色味が薄く、表面が不自然な光り方をしていることが多いです。そのため、色味に違和感がある場合は、偽物の可能性が考えられるので注意しましょう。
ただし、経年劣化による傷で内側の素材が見えることもあります。
③ 磁石を使って確認する
純金は磁石に近づけてもくっつきません。
また、割金に使用される銀やアルミニウムなども同様に、磁石にはくっつかない性質を持っています。そのため、磁石にくっつくものは金メッキ製品の可能性が高いと考えられます。
ただし、磁石で全ての金メッキ製品を見抜けるわけではありません。なぜなら、銀や錫など、磁石に反応しない素材に金メッキを施している場合もあるためです。
一方、本物の合金製品でも、割金の種類によっては磁石にくっつくことがあります。
④ 水を使って比重を確認する
金製品を水に沈め、比重を測定することで、金の純度を計算する方法があります。
手順は以下のとおりです。
(1)キッチンスケールで金製品の重さを測定(重さを「A」とする)
(2)水を入れたコップをキッチンスケールに置き、ゼロ表示にリセット
(3)金製品を糸でつるし(※)、水に浸して重さを測定(重さを「B」とする)
(4)「A÷B」で比重を算出
※ 金製品が容器の底や側面に触れないように注意してください。
上記の手順で求めた数値が金製品の比重です。
純金の比重は「19.13~19.51」であるため、同じ体積の水に対して約20倍の重さがあります。K18の場合は「14.84~16.12」のため、約15倍の重さです。
このように、金の純度が算出されれば、本物の金製品の可能性があります。
ただし、キッチンスケールの精度や素材によっては、偽物でも金製品と似たような比重を示すことがあるため、注意が必要です。
⑤ 試金石を使って確認する
試金石の表面に金製品を擦り付け、削り取られた部分の色や感触を確認することで、本物の金を判別することができます。
金は柔らかい素材のため、削った際の感触や色味がオレンジ色であるかどうかが基準となります。また、試金棒と呼ばれるアイテムと色味を比較すると、さらにわかりやすくなります。
一方、不自然に硬い場合は偽物の可能性があります。金以外の中身が露出すれば、それは金メッキ製品だと判断できるでしょう。
ただし、二重メッキが施されたインゴットや、タングステンなどの金属を銅メッキでコーティングした製品では、試金石を使っても見極められないことがあります。
また、ほかの方法と異なり、製品を傷つけると価値が下がってしまう点に注意しましょう。
⑥ 剥離の有無を確認する
金メッキの剥がれを確認することで、本物か偽物かを判別することも可能です。
純金は非常に柔らかいため、衝撃や摩擦で傷がつくと金メッキが剥がれることがあります。そのため、アクセサリーなどをよく観察し、傷や汚れなのか、それともメッキの剥がれなのかを確認しましょう。
もしメッキが剥がれている場合は、内部が金ではなく、別の金属であると判断できます。
⑦ 温度の変化で確認する
金製品を手に取ったときの感触で、本物か偽物かを見分けることができる場合があります。
金は熱伝導率が高いため、手に取った瞬間は冷たく、徐々にぬくもりを感じるようになります。これは、手の熱が金に伝わるためです。金の純度が高いほど、温度の変化を実感しやすくなります。
一方、偽物の場合、内部が別の金属であることが多いため、熱伝導率が低いことがあります。そのため、本物の金のような温度変化を感じられません。
⑧ 買取業者に査定してもらう
これまで紹介したように、金の判別は自宅で手軽にできる方法もありますが、プロの査定士に依頼する方が正確です。
金に精通した査定士であれば、ひと目見ただけで本物か偽物かを見分けられることも珍しくありません。
時間や手間をかけずに済ませたい方は、自分でさまざまな方法を試す前に査定へ出してみましょう。想定よりも早く解決する可能性が高いです。
金の査定を買取業者に依頼する際のポイント4選
金製品を買取業者に依頼する際は、正確な査定を受けることが非常に重要です。しかし、業者選びを間違えると、低い価格を提示されるリスクがあります。
そこで、金の査定を買取業者に依頼する際に押さえておくべき4つのポイントを詳しく解説します。
金の買取実績が豊富か
まずは、候補となる業者の買取実績を公式ホームページなどで確認しましょう。
実績が豊富で長く続いている業者であれば、査定に関するノウハウや経験が蓄積していると考えられます。また、買取実績に加えて、以下の点も業者選びの重要な基準となります。
・高価買取の基準や買取価格の根拠を明確にしている
・貴金属専門の査定士が在籍している
・X線装置など、金の純度を正確に計測できる機器をそろえている
一方で、金の買取実績が少ない業者や、具体的な買取価格を掲載していない業者は、注意が必要です。
貴金属の価値を正確に見極める技術が不足している可能性があるため、低い査定額を提示することがあります。
手数料がかからないか
買取業者によって手数料は異なります。
査定や売却に手数料が発生するケースもあれば、無料で査定をするケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
また、高価買取を行っている業者の中には、多額の手数料を設定していることもあります。さらに、宅配買取や出張買取を依頼する場合、配送料や出張料がかかるかどうかも事前に確認することが重要になります。
なお、査定金額に納得できない場合はキャンセルすることができます。このときにキャンセル料が発生することもあるため、前もって確認しておくとよいでしょう。
見積りをしっかり提示してくれるか
店頭買取では、多くの業者が査定後に見積書を発行します。
しかし、見積書を出さなかったり、見積書に製品ごとの内訳が記載されていなかったりする業者には注意しましょう。最悪の場合、悪徳業者の可能性があります。
さらに、査定士が丁寧で満足のいく接客をしてくれるかどうかも、業者選びの重要なポイントとなります。
実店舗があるか
金の査定業者を選ぶ際、実店舗の有無は重要なポイントです。
実店舗を持つ業者であれば、対面での査定や調査をしているため、万が一トラブルが発生した場合でも迅速に対応してもらえるという安心感があります。
また、値段交渉をその場で行うなど、柔軟な対応も可能です。
一方、実店舗を持たない業者を選んだ場合、問題が発生したときに連絡が取れないというリスクがあります。さらに、無店舗業者ではインターネット取引が主になるため、値段交渉に限界があります。
特に、急いでお金が必要な場合、インターネットでの取引よりも実店舗での買取を依頼した方が、スムーズに取引を進められるでしょう。
金の見分け方に関するよくある質問

金の見分け方に関するよくある質問として、以下の3つをご紹介します。
・刻印なしの金でも売ることはできるか?
・偽物の金の被害にあわないための対策は?
・日本でも偽物の金は流通しているのか?
ここでは、これらの3つについて詳しく解説していきます。
刻印なしの金でも売ることができる?
金の純度を正確に調べられる買取業者では、刻印の有無によって買取対応を変えることはほとんどありません。刻印は金の純度を示すものであり、ほかの方法で価値を確認できれば、その金額で買取ってもらえるのです。
一方で、専門的な知識を持たないリサイクルショップなどでは、刻印がないと判断が難しく、買取を断られるケースがあります。
そのため、金のアクセサリーを売りたい場合は、専門性の高い業者に持ち込むことをおすすめします。
買取専門業者は、金製品の適正な価格を割り出す知識とノウハウを持っているため、高額買取を実現できる可能性があります。
偽物の金の被害にあわないための対策は?
偽物の金に関する被害を避けるためには、信頼できるお店でのみ購入することを意識しましょう。
例えば、近年ではフリマアプリの利用が増えています。しかし、こうしたプラットフォームでの購入には注意が必要です。
確かに、フリマアプリやオークションサイトでは偽物の出品は禁止されていますが、運営スタッフが全ての商品を確認するわけではありません。商品名や詳細欄に「純金」や「K18」と記載されていても、実際は金メッキ品であるおそれがあります。
そのため、フリマアプリのように本物かどうか確証を得られない状態で、金製品を購入するのは避けることをおすすめします。
日本でも偽物の金は出回っている?
一般的に、偽物の金が日本市場に出回ることは少ないと考えられています。
これは、日本の金製品に対する品質基準が厳格に定められているためです。
そのため、日本国内の公式ブランドショップで新品の金製品を購入する場合、その製品が本物であると認識しても問題ないでしょう。
ただし、非公式の店舗やフリマアプリ、ネットオークションなどで販売されている金製品の中に、偽物が存在する可能性を完全には否定できないため、十分な注意が必要です。
まとめ
今回は、金と金メッキを簡単に見分ける方法について解説しました。
金製品は、正しい刻印のある純金や合金であれば本物と言えます。一方で、金メッキを表面にコーティングしただけのものや、刻印を偽装しているものも存在するため、注意が必要です。
もし、お手持ちの金製品が本物かどうか不安な場合は、今回ご紹介した内容を試してみてください。