目次
砂金とは?
一般的に、砂粒のような金の塊を砂金と呼びますが、実は砂金には明確な定義があります。ここでは、砂金の定義やその生成過程、他の金との違いについて詳しく解説します。
砂金の定義
砂金とは、自然界に存在する金が細かい粒子状になったものを指します。
通常、雨や風の侵食作用などによって削られた金鉱脈が、微細な金の粒として川に流され、川岸や河口などに堆積します。これらの金は、その名のとおり砂のように細かい粒ですが、中には大きな粒になることもあります。
砂金が生まれる過程
砂金の多くは、川の上流に位置する「金鉱床」と呼ばれる場所で生成されます。金鉱床とは、金を含んだマグマが冷却・凝固することによって形成される鉱脈が集まったものです。
多くの場合、金鉱床は地中深くに存在しますが、地殻変動などの地質的要因により、地表に現れることもあります。
その後、川の風化や侵食によって金鉱床から削り取られた金が川に流れ込みます。こうして流れ出た金は砂金となり、川底や川岸に沈殿します。
また、砂金の発見がきっかけとなり、金鉱床が特定されると、大規模な採掘が行われることもあります。
砂金と他の金との違い
砂金と他の金との主な違いは、その形状と生成過程にあります。
砂金:自然の作用によって生まれた天然の金
他の金:人の手によって加工された金(金箔、インゴットなど)
砂金は自然界で生成された天然の鉱物です。このような金は自然金とも呼ばれています。
一方で、他の金は基本的に業者によって加工されています。不純物を取り除き、純度の高い金に加工することを精錬と呼ぶこともあります。
砂金の歴史
砂金の歴史は世界中に存在します。
例えば、オーストラリアなどでは世界最大の砂金が発見されています。また、今では想像しにくいかもしれませんが、日本でも砂金は採掘されていました。
ここでは、日本と海外における砂金の歴史について詳しく解説します。
日本と砂金の歴史
現在、国内の金鉱山(金山)のほとんどが閉山していますが、かつては多くの金山で金を採掘していました。金山での採掘と比べ、砂金の採掘は大掛かりな設備を必要としないため、個人の採掘も一般的であったといわれています。
特に、北海道の枝幸町では、3か所で砂金地が発見され、これを皮切りに、北見枝幸地域ではゴールドラッシュ(※1)が巻き起こりました。
また、1900年には、約769gのナゲット(※2)が発見されており、これは日本国内で確認された砂金の中では最大級の大きさとされています。
※1 一攫千金を夢見た人々が、金を採掘するために採掘地へ殺到することを指します。
※2 自然で生成される高純度の金(自然金)の塊のことを意味します。
海外と砂金の歴史
19世紀には、アメリカやオーストラリアで金が発見されたことで、ゴールドラッシュが発生しました。
この時代で最も有名なのは、1848年以降に起こったカリフォルニア・ゴールドラッシュでしょう。この出来事によって、カリフォルニアの地域は数年間で目覚ましい発展を遂げました。
一方、オーストラリアでは、ニューサウスウェールズ州やヴィクトリア州でゴールドラッシュが起こりました。当時は巨大な金塊が多く発見され、現在でも、オーストラリアは世界有数の金の産出国として知られています。
発見された年 | 名前 | 重さ | 採掘国 |
---|---|---|---|
1869年 | ウェルカム・ストレンジャー | 約71kg | オーストラリア |
1958年 | ウェルカム・ナゲット | 約69kg | オーストラリア |
1980年 | ハンド・オブ・フェイス | 約27kg | オーストラリア |
砂金の価値や買取相場
砂金の価値は、純度と重さ(g)を確認することでおおよその目安を立てられます。しかし、実際に買取ってもらう際は、手数料なども考慮する必要があります。
ここでは、砂金の価値や買取相場について詳しく解説します。
砂金1gの価値
砂金の価値や買取相場については、市場価格を目安にすることができます。
通常、砂金の純度は約90%とされており、金の品位では「K21.6」に相当します。
2025年5月現在、K21.6の相場は、1gあたり約14,000円です。この数値が、砂金の価格を見積もるときの1つの参考になります。
ただし、砂金を売却する際は、精製コストや取引手数料などが差し引かれるため、実際の買取価格は市場相場よりも低くなることが一般的です。
砂金は売れる
一般的に、砂金は純度の高い金であるため、きちんと査定してもらえば買取ってもらえる可能性があります。
できるだけ買取相場に近い価格で売却するためには、砂金の価値を正確に査定してくれる業者を見つけることが重要です。砂金は、一部の質屋や金の買取専門店、インターネットオークションなどで取引できます。
ただし、日本国内の砂金は非常に少なくなっているといわれているため、収益につなげるのは難しい点には注意が必要です。
砂金が採れる川
全国各地にある砂金採取の体験スポットを訪れると、砂金採取を楽しむことができます。また、昔に比べて砂金の量は減っていますが、今でも川底や河口などで採取することが可能です。条件が揃っている河川を探すことで、砂金を採取できる可能性があります。
砂金を採取できる川の特徴として、以下の5つが挙げられます。
1.過去に金鉱山が近くにあった
2.川底が岩石になっている
3.岩盤に割れ目やくぼみがある
4.川の中にある大きな岩がある
5.草が岩盤まで根を張っている
このような特徴がある川を中心に探すと、より効率的に砂金を見つけられるでしょう。
砂金の採り方
砂金は、以下の2つの手順で採取することができます。
・場所を選ぶ
・実際に砂金を採取する
ここでは、これらの2つの手順について、それぞれ詳しく解説します。
場所を選ぶ
砂金は、どこでも採取できるわけではありません。
レジャーの一環として楽しみたい場合は、「砂金採取体験」に参加するのがおすすめです。ちなみに、体験イベントが開催されている場所は、多くの場合、過去に砂金が採れていたという共通点があります。
例えば、以下のような施設で砂金採取体験を楽しむことができます。
・ウソタンナイ砂金採掘公園(北海道)
・天平ろまん館(宮城県)
・佐渡西三川ゴールドパーク(新潟県)
・湯之奥金山博物館(山梨県)
・土肥金山(静岡県)
・生野銀山(兵庫県)
もし個人で砂金採取をしたいのであれば、事前にどこで採取できるかを調べることが重要です。金鉱床が近くにある川や河口などを選ぶとよいでしょう。
実際に砂金を採取する
砂金の採取といえばパンニングと呼ばれる方法が一般的ですが、砂金が大粒であればブロック掘りや眼鏡掘りといった方法でも採取することができます。ここでは、それぞれの採取方法について解説します。
ブロック堀り
砂金が堆積していると予測される地層をブロック状に掘り出し、その中から砂金を探す方法です。この方法は、特に砂金が多く含まれていると考えられる深い地層に対して有効です。
作業には大きな労力が伴いますが、その分、1度に大量の砂金を掘り当てられる可能性もあります。
眼鏡掘り
川底や砂地など、砂金がありそうな場所を、専用のスコープを使って覗きながら砂金を探す方法です。見つけた砂金は、ピンセットや油差しを使って集めます。
この方法は、川底が浅い場所や、小さな砂金を探す場合に適しています。労力が少なくて済む反面、目視できる大きさの砂金しか見つけられないため、採取できる量は少ない傾向があります。
パンニング
パンニングとは、土砂と水をパンニング皿と呼ばれる道具の中に入れ、土砂を洗い流し、底に沈んだ砂金を取り出す一連の作業を指します。金は他の鉱石よりも比重が大きいため、このような作業を繰り返すことで、土砂と砂金を分離させられるのです。
この方法では、川に流された砂金を採取することができます。川岸や河口など、砂金が溜まりやすい場所を中心に探すとよいでしょう。
パンニングで砂金を採取する手順は以下のとおりです。
1.パンニング皿に水と砂を入れる
2.砂金が底に沈むのを意識しながら、パンニング皿を揺らす
3.パンニング皿にある大きな溝のある部分を水中に沈め、大きな砂利を捨てる
4.パンニング皿にある細かい溝のある部分を水中に沈め、小さな砂粒を捨てる
5.皿の底に残った砂金を集める
これらの手順を繰り返すことで、砂金を採取することができます。
また、前述のブロック掘りや眼鏡掘りと組み合わせることで、より効率的に砂金を集めることができます。砂金の存在を確認した後、残りの土砂をパンニングすれば、小さな粒の砂金まで、しっかりと採取することができるのです。
砂金の採取で注意するべきこと
砂金の採取を行う際は、以下の3つのポイントに注意しましょう。
・違法行為をしない
・自然環境に配慮する
・マナーを守る
ここでは、これら3つの注意点について詳しく解説します。
違法行為をしない
砂金採取を行う際は、違法行為をしないことが何よりも重要です。
レジャー施設などで料金を支払って体験する分には問題ありませんが、公有地や私有地への不法侵入や、無断採取しないように十分注意しましょう。
特に、河川などで採取を行うときは、必ず採取が許可されている場所を選ぶか、事前に土地の所有者や行政機関の許可を得る必要があります。
また、車で現地に向かう場合、指定された駐車場に駐車することや、周囲に迷惑をかけない場所を利用するなど、マナーの厳守を徹底することでトラブルの回避につながります。
自然環境に配慮する
川底や河口周辺を掘り起こす場合、自然環境に影響を及ぼす可能性があるため、掘った穴を必ず埋めるなど、できる限り元の状態に戻すことを心がけましょう。
また、重機の使用や、川底に大きな穴を掘った状態で放置などといった、自然環境への配慮を欠いた行動は避けなければなりません。それに加えて、ゴミを必ず持ち帰るなど、環境保全の意識を持って行動することも大切です。
なお、野生動物や天気にも注意が必要です。過去には、砂金採りが熊に襲われた事件が発生しています。環境変化などにより、人里の近くに降りてくる熊も多いといわれているため、山の近くで砂金を採る場合は周囲の安全をしっかりと確保しましょう。
それ以外にも、荒天や川の増水によって負傷等のリスクがあるときは、採取を中止することをおすすめします。
マナーを守る
産金地として知られる地域の中には、マナー違反が原因で、近隣住民や他のレジャー利用者との間でトラブルが発生するケースがあります。
大声を出さないのはもちろんのこと、他の採取者や観光・レジャー客の邪魔にならない場所を選ぶなど、周囲への配慮を忘れないようにしましょう。
また、良い採取ポイントを見つけたとしても、その情報を拡散することは避けましょう。採取者が一斉に押し寄せることで環境への負荷が高まり、地域の人々や他の利用者に迷惑をかけるおそれがあります。
まとめ
今回は、砂金について解説しました。
砂金はレジャー施設だけでなく、条件次第では河川や河口付近でも採取することが可能です。しかし、その採取量から、収益を目的としたビジネスには向いていません。そのため、砂金は主に思い出作りや記念品として採取されることが一般的です。
採取した砂金をアクセサリーやキーホルダーに加工すれば、世界に1つだけの特別な記念品として楽しむことができます。
砂金採集に挑戦する際は、地域のルールやマナーを守りながら、自然とのふれあいを楽しんでみてはいかがでしょうか。