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金を海外に持ち出したいときのルール
金を海外に持ち出すには、日本と渡航先それぞれのルールを把握することが欠かせません。申告が必要な条件や各国の規制を知り、適切に対応することで、トラブルを未然に防ぎましょう。
金を海外に持ち出す基本ルール
海外に金や金製品を持ち出す際は、各国の法律や規制を事前に確認し、これらのルールを理解することが重要になります。
日本では、純度90%以上の金地金を1キロを超えて持ち出す場合、税関への事前申告が義務付けられています。これは資金洗浄やテロ資金供与を防ぐための措置で、違反すると罰則を受ける可能性があります。
持ち出し先の国ごとの規制にも注意
日本のルールだけでなく、渡航先の税制や輸入規制についても確認しておく必要があります。
国によっては、一定量を超える金の持ち込みに制限があったり、高額な関税が課されたりすることもあります。適切な手続きを踏むことで、不要なトラブルを防ぎましょう。
金を海外から持ち込みたいときのルール
海外で金や金製品を購入した際、日本に持ち込む際のルールを理解しておきましょう。知らずに違反すると、罰金やトラブルの原因になりかねません。
申告・税金のルール
海外から日本に金や金製品を持ち込む際には、一定のルールが定められています。金の持ち込みには、金額や量に応じた申告が必要です。
申告
金地金や金製品を高額で持ち込む場合、税関での申告が必要になることがあります。その際、所定の書類を提出することが求められます。
対象者 | 提出書類 |
入国(帰国)するすべての人 | 携帯品・別送品申告書 |
重量が1kgを超える
純度90%以上の金を持ち込む人 |
携帯品・別送品申告書
+ 支払手段等の携帯輸出・輸入申告書 |
税金
購入金額が20万円を超える場合、納税手続きが必要です。日本に持ち込む品物の合計が免税枠を上回ると、その超過分に税金がかかります。
課税額は、海外での小売購入価格(海外市価)を基に計算されます。20万円以内の品物は免税対象ですが、それを超えれば課税の対象になります。
免税店での購入
空港にある「Duty free shop(デューティフリー・ショップ)」や、旅行先にある「Tax free shop(タックスフリー・ショップ)」などでは、免税が適用されます。「TAX FREE SHOPPING」や「PREMIER tax free」といった表示が目印です。
EU加盟国をはじめ、オーストラリアやカナダなど一部の国では免税手続きも可能です。事前準備として、渡航前に対象国や免税店の場所を確認しておくことをおすすめします。
ルールを守れなかった時の罰則
金の輸入に関する規制を守らずに持ち込むと、罰則を受ける可能性があります。税関での申告を怠ったり、虚偽の内容を伝えた場合には、重い罰金や刑事罰が科されることになるため、あらかじめ理解しておきましょう。
関税法違反に対する罰則
関税法に違反した場合、最大で5年以下の懲役または500万円以下の罰金、またはその両方が科されることがあります。消費税法や地方税法に違反した場合は、最大で10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科される可能性もあります。
さらに、脱税額が一定の金額を超える場合、罰金額はその額の何倍にもなることがあります。違反の意図がなくても、不注意や知識不足によって罰を受けることになりかねません。
金の持ち込み時の注意点
海外で購入した金を日本に持ち込む際には、免税範囲や申告のルールを正しく理解しておくことが大切です。申告を怠ると罰則の対象となることもあるため、事前に必要な手続きを把握し、適切に手続きを行いましょう。
免税範囲内でも申告が必要
日本では、2007年7月から「携帯品・別送品申告書」に金の持ち込みを記載する欄が設けられています。テロや密輸防止の観点から、すべての入国者に申告が義務付けられており、20万円以内の金であっても例外ではありません。
申告が必要なものには、金地金のほか、純度が高い金製品も含まれます。未申告の場合は、罰則の対象となります。しかし、申告したからといって必ず納税義務が生じるわけではなく、免税範囲内であれば税金はかかりません。
課税対象となる金の計算方法
持ち込む金の価値が20万円を超える場合、課税の対象となります。誤解しがちなのが、超過分だけに税金がかかるわけではなく、1個の価値が20万円を超える金地金は全額が課税対象になる点です。
たとえば、海外で25万円で購入した金地金を持ち込んだ場合、課税対象額は「評価額(購入価格に加えて運賃や保険料などを含めた課税価格)」となります。
一方で、複数の金地金を持ち込む場合は、免税範囲内で最も価値の高いものが非課税扱いとなり、それ以外の品物に課税されます。
単体で20万円を超える金 | 全額課税対象 |
複数の金を持ち込む場合 | 最も高い20万円以下の金が免税対象 |
金の密輸増加と消費税の関係
近年、日本への金の密輸は増加傾向にあるとされています。その背景には、消費税率の引き上げや金価格の高騰などが影響しているといわれています。金は、世界共通の市場価格を持つため、不正に持ち込んで利益を得ようとするケースが後を絶ちません。
日本で金を購入すると消費税がかかる
日本で金を購入すると、消費税が課せられます。現在の税率は10%であり、購入金額に上乗せされる形となります。この税金は、金を資産として保有する際に考慮すべき重要な要素です。
金を消費税の低い国で購入し、税率の差を活用して利益を得ようとする人もいます。しかし、日本には金地金の持ち込みに関する厳しい規定があり、1キログラムを超える金は非課税で持ち込むことができません。
また、海外で得た利益を日本に持ち帰るには、税金が発生することもあります。こうした点を踏まえると、国際取引による利益は予想以上に少ないといえるでしょう。
海外では金購入に消費税がかからない
海外では、多くの国で金の購入に消費税がかかりません。台湾やシンガポール、ドバイなどは金製品を非課税で購入できるため、日本に比べて10%お得に買い物ができます。
台湾は日本から近く、さまざまな場所で手軽に金製品を購入できます。また、ドバイには「ゴールドスーク」と呼ばれる金の市場があり、ここでは純度99%以上の金が非課税で取引されています。
ただし、純度が99%未満の金には「付加価値税(VAT)」がかかる点に注意が必要です。
消費税分の利益を得るために金の密輸が増加
消費税の差額を狙って金の密輸が増加しています。海外で金製品を購入し、日本国内で消費税を上乗せして売却することで、密輸者はこの税分を利益として得ることができます。
最近では一般の人々を巻き込む悪質な密輸行為も報告されており、加担すると厳しい処罰を受ける可能性があります。税務当局はこれらの違法行為に対して、今後さらに厳しい対応を進めると予測されています。
まとめ
金の海外持ち出し・持ち込みには厳しい規制があり、適切な申告と手続きを怠ると罰則が科されます。税金や関税をしっかり把握し、法令を遵守しましょう。